「責任を持って、自分たちでつくる」培養から投与までを院内で。アヴェニューセルクリニックの再生医療
日本における再生医療への関心は、段階的な広がりを見せている。(*1)
幹細胞技術を応用したアプローチは、関節機能の維持や血管病変、加齢に伴う身体的変化を対象領域の1つとして研究や臨床応用が進められてきた。
一方で、再生医療等の安全性の確保等に関する法律(*2)が2014年に施行されてから10年以上が経過し、市場が拡大する中で、細胞の培養工程や品質管理のあり方が問われる場面も増えている。
そうした環境において、表参道駅に位置し、院内に細胞培養加工施設(CPC)(*3)を備える「アヴェニューセルクリニック」が、2026年4月で開院10周年を迎えた。リンパ浮腫の保険診療と、幹細胞による再生医療(自由診療)。性質の異なる2つの診療を両立させながら、培養から投与までを自院内で一貫させる体制を敷いてきたクリニックである。
2024年7月に院長に就任した楊 睿(よう・えい)医師は、医学部を卒業後、大学病院の医局で形成外科・リンパ浮腫治療の研鑽を積んできた経歴を持つ。
同院が客観的な工程管理と説明責任の徹底において何を重視してきたのか。
楊院長へのインタビューを通じて、その診療姿勢と再生医療の現状を聞いた。
*1:経済産業省「再生医療産業によるバイオ産業の発展について」
*2:厚生労働省「再生医療等の安全性の確保等に関する法律について」
*3:Cell Processing Center(細胞培養加工施設)の略
表参道で開院から10年。再生医療・リンパ浮腫の二本柱

―貴院がどのような特長を持つクリニックなのか、教えてください。
楊:アヴェニューセルクリニックは、2016年4月に表参道で開院し、2026年4月で10周年を迎えました。
診療の柱は、大きく2つに分かれています。
1つは、自由診療の幹細胞による再生医療。
もう1つは、保険診療のリンパ浮腫治療です。
性質の異なる2つの診療を並行して提供している点が、当院の体制を特徴づける要素になっているかと思います。

再生医療に関しては、院内に細胞培養加工施設(CPC)を備え、患者様から採取した細胞の培養から投与までの工程を、自院内で完結させる体制をとっています。
再生医療等の安全性の確保等に関する法律が2014年11月に施行されてから10年以上が経過し、幹細胞を扱う施設はいくつも立ち上がってきましたが、創設者の辻医師は、この法律の施行とほぼ同時期から細胞培養の研究に取り組み、院内に培養施設を整えてきました。
―院内に細胞培養加工施設を併設し、工程を自社管理する体制をとられた背景についてお聞かせください。
楊:開院当時の時代背景がまず1つあります。
2014年当時は、細胞培養を委託できる外部の専門施設がまだ十分に整っていない時期でした。
再生医療の領域に早い段階で参入した立場として、自分たちで培養体制を整える以外の選択肢が実質的になかったという事情があります。
もう1つは、自院内で培養工程を担うことで、細胞の品質や工程の状況を医師自身が把握しやすくなるという考えです。
患者様に細胞を投与する立場として、その細胞がどのような工程を経て準備されたものなのかを、責任を持って説明できる状態にしておきたい。
創設時から、その姿勢で培養施設を運営してきました。
幹細胞治療の相談・診療体制においては、これまで多くの患者様にご来院いただいており、リンパ浮腫の保険診療と合わせて、表参道の地で診療を続けてきました。
細胞培養は外部委託しない。非凍結の‘生’細胞を選択

―外部委託ではなく自院内で細胞培養を行うことには、患者様にとってどのような違いがあるのでしょうか。
楊:細胞培養を扱うクリニックの多くは、外部の培養施設に工程を委託する形をとっています。
委託先で培養された細胞は、いったん冷凍保存された状態でクリニックに届けられ、投与の日にクリニック側で解凍し、点滴で患者様に投与するというのが、広く採用されている方式の1つです。
冷凍保存と輸送を前提にすれば、まとまった量の細胞を一度に培養しておけるため、運用面では効率的です。
ただ、冷凍と解凍の工程を挟むことで、いくつか別の論点が生じてきます。
細胞は、投与する時点で生きていることが前提になります。約マイナス200度の液体窒素で凍結する際に、そのままでは細胞が壊れてしまうため、凍結防止剤と呼ばれる薬剤を加えて細胞を保護した状態で冷凍します。
代表的なものに「DMSO」と呼ばれる凍結防止剤があり、細胞を保護するために必要な薬剤として用いられています。
一般的に冷凍状態で届く細胞をそのまま解凍して投与する場合、工程の特性上、この凍結防止剤が含まれた状態での投与が標準となり、まれではありますが、アレルギー反応や合併症を引き起こすリスクがあります。
当院では、患者様の来院日が決まった段階で、その日に合わせて培養を仕上げる方式をとっています。
具体的には、患者様から採取した細胞を、まず中間段階まで培養し、いったん冷凍保存します。
その後、患者様の来院日が確定したタイミングで、再度解凍してもう一度培養を行い、投与する当日に培養が完成するという流れです。
これによって、凍結防止剤が含まれず、冷凍過程を経ていない新鮮な状態で投与することが可能になります。
この方式の場合、培養を実質的に2回行うことになり、患者様ごとに個別のスケジュールで管理する必要が生じます。
培養士の手数も、設備の稼働も、まとめて作るやり方と比べれば多くかかります。
そのため、外部委託で大量培養した細胞を仕入れて投与する方式と比較すると、コストを抑えやすい構造ではありません。

ただ、投与する直前の細胞を、冷凍工程を介さずに準備できることと、凍結防止剤を含まない状態で患者様にお届けできること。
この2つは、当院が培養体制を院内で抱えることを選んだ理由と直接つながっています。
院内に培養設備を持つことは、医師の体制ともつながっています。
当院の医師は、創設者の辻医師や私も含め、大学医学部の医局において臨床経験を積んだ医師が在籍し、それぞれの専門領域における知見をもとに診療を行っています。
膝関節、動脈硬化。複数の選択肢から組み立てる個別のアプローチ
―幹細胞による再生医療は、関節や血管、皮膚の症状など、幅広い領域での活用が検討されている分野と伺っています。貴院の場合、どのような目的でご来院される方が多いのでしょうか。
楊:当院にお越しになる患者様の目的としては、膝の不調に関するご相談と、動脈硬化に関するご相談が多い傾向にあります。
膝関節については、加齢や運動の影響で軟骨がすり減り、痛みや可動域の制限が出てくる方が一定数いらっしゃいます。
動脈硬化については、生活習慣や加齢に伴う血管の状態に対して、何らかの介入を検討したいというご相談をいただくケースが多いです。
その他にも、皮膚の状態に関するご相談や、頭髪のボリュームに関するご相談など、ご来院される目的はさまざまです。
幹細胞は、組織の修復に関わる作用を持つ細胞として研究が進んでいる分野であり、医療における応用可能性が多角的に検討されている領域になります。

―治療を進めるにあたって、貴院ではどのような考え方を大切にされていますか。
楊:幹細胞の投与だけで完結させない、という考え方を1つの軸としています。
たとえば膝関節の場合、幹細胞の局所注射に加えて、リハビリテーションを並行して行う方が、機能の維持や回復に向けた取り組みとしてスムーズな流れになります。
頭髪のボリュームに関するご相談では、頭皮への幹細胞由来成分の注入と、医療機関で処方される標準的な治療薬の併用といった形で、複数のアプローチを組み合わせるケースがあります。
幹細胞による介入と、リハビリや既存の治療薬。あるいは局所注射と、静脈投与による全身への作用。
こうした組み合わせ方を、患者様の状態とご希望に応じて設計していくのが、当院の診療の進め方です。
幹細胞は、組織の修復に関わる作用を期待して用いる治療ですが、その作用を十分に活かすには、患者様ご自身の生活習慣や、既存の治療との組み合わせも含めて考えていく必要があります。
ですので、カウンセリングの段階で、それぞれの選択肢に何が期待でき、何が期待しにくいのかを丁寧にお伝えするようにしています。
その上で、患者様ご自身に治療を選んでいただけるようなプロセスを大切にしています。
一人ひとりの背景を踏まえて、提示できる選択肢を真摯に追求する

―カウンセリングの場面で、患者様と向き合う際に意識されていることはありますか。
楊:まずは、患者様のお話をじっくり伺うところから始めるようにしています。
抱えていらっしゃるお悩みの内容、これまでに受けてこられた治療の経過、日常生活でどのような場面に困っていらっしゃるのか。
そうした背景を一つひとつ確認していくと、初めの問い合わせの時点でご希望されていた治療と、実際にお話を伺った上で適していると考えられる治療とが、異なってくることも少なくありません。
特に再生医療の領域は、患者様によってご来院に至るまでに調べていらっしゃる情報量や、治療に対する捉え方に幅があります。
中には、再生医療に対して大きな希望を抱いてお越しになる方もいらっしゃいます。
「これを受ければ、すべてが改善される」という認識でいらっしゃると、実際の治療の進み方と、思い描いていた状態との間に開きが生じてしまうことがあります。
ですので、お話を伺った後には、当院でお引き受けできる内容と、難しい部分とを率直にお伝えしています。
―具体的には、どのような流れで治療の選択肢をご提示されているのでしょうか。
楊:患者様の状態に対して、当院で提供できる選択肢を整理してお伝えします。
幹細胞による治療を中心に、局所への注射、静脈投与、レーザーとの併用、リハビリとの組み合わせなど、複数の選択肢が考えられる場合は、それぞれの特徴と、期待される作用の方向性、費用までを含めてご説明します。
その中で、患者様の状態とご希望に対して適していると判断した選択肢を、医師としてお勧めする形をとっています。
ただ、最終的に治療を選ぶのは患者様ご自身です。
医師が一方的に決めるのではなく、ご自身で納得した上で進めていただくことを大切にしています。
私は大学病院の医局時代、リンパ浮腫の患者様と向き合ってきました。
リンパ浮腫は、根治が難しい疾患であり、長期的に症状と付き合っていく性質があります。
提示できる選択肢を尽くし、患者様ご自身の判断を支える材料を揃え、共に対処を考えること。
これは、クリニックでの診療において変わらず大切にしている部分です。
独自の法整備が進んだ日本。枠組みに沿って積み上げてきた10年

―日本における再生医療の法的な枠組みについて、貴院から見てどのような環境になっているのでしょうか。
楊:再生医療等の安全性の確保等に関する法律が2014年11月に施行されて以降、国内で幹細胞などを用いた再生医療を提供するクリニックは、所定の手続きを経た上で診療を行う仕組みになっています。
具体的には、医療機関が再生医療等提供計画を策定し、厚生労働大臣が認定した認定再生医療等委員会の審査を受けた上で、計画を提出する流れです。(*4)
再生医療の領域において、このように厳格かつ体系的な法整備のもとで運用されている環境は、一つの確固たる基盤となっています。
法律の施行から10年以上が経過し、この枠組みは国内における医療提供の適正性を支える基盤として機能してきました。
―法整備の進んだ環境の中で、業界として課題に感じている点はありますか。
楊:市場が拡大していく中で、培養工程や細胞の取り扱いについての品質管理が、改めて問われる場面が出てきていると感じています。

再生医療を扱う施設が増えていく流れの中では、多様な運営体制が混在する形になります。
業界全体としては、品質管理や、患者様への説明責任といった部分が、改めて重要な論点として浮上している状況です。
当院は開院当初から、再生医療等提供計画の策定や認定再生医療等委員会の審査といった枠組みに沿って、院内で培養工程を完結させる体制を運用してきました。
そうした姿勢で診療を続けてきた立場としては、規制や審査の枠組みがより明確になっていく方向は、むしろ望ましい流れだと受け止めています。
業界全体の管理基準が明瞭化していくことは、再生医療を検討される患者様にとっても、客観的な判断材料が増えることにつながるはずです。
*4:厚生労働省「再生医療等の安全性の確保等に関する法律について」
自由診療と保険診療の適切な選択。日帰りで行うリンパ浮腫治療

―貴院では再生医療と並行して、保険診療のリンパ浮腫治療も柱の1つとされています。リンパ浮腫という疾患について、改めてお聞かせいただけますか。
楊:リンパ浮腫は、リンパ液の流れが滞ることで、主に四肢に慢性的なむくみが生じる疾患です。
大きく分けると、生まれつきや原因不明なリンパ管の構造に起因する「原発性リンパ浮腫」と、がんの手術後などに二次的に発症する「二次性リンパ浮腫」の2種類があります。
患者数としては、二次性のほうが多い傾向です。
乳がんや婦人科系のがんの治療でリンパ節を切除された方が、術後にリンパ浮腫を発症されるケースが代表的です。
この疾患の特徴として、根治を目指すことが難しい性質を持っています。
長期的に症状と付き合っていくことを前提に、進行を抑え、日常生活への影響を軽減していく方針で診療を進めることになります。
―貴院ではどのような形でリンパ浮腫の治療を提供されているのでしょうか。
楊:診療の中心は、圧迫療法と手術治療を中心としたアプローチです。
圧迫療法とは、弾性ストッキングや弾性スリーブと呼ばれる、伸縮性のある専用の装具を手足に装着することで、外側から適度な圧力を加え、滞ったリンパ液の流れを物理的に促す治療法を指します。
患者様には半年ごとを目安にご来院いただき、症状の経過を確認しながら、装具の調整や生活面のアドバイスを行っていきます。
圧迫療法だけでは対応が難しいケースについては、外科的な治療として「リンパ管静脈吻合術(LVA)」を行うことがあります。
これは、リンパ管と静脈を直接つなぎ合わせることで、滞ったリンパ液の流れに別の経路を作る手術です。
リンパ管は非常に細く、直径は0.5ミリに満たない場合がほとんどです。
そのため、手術には顕微鏡を使ったマイクロサージャリーと呼ばれる技術が必要になります。
当院では、このリンパ管静脈吻合術を日帰りで対応しています。
大学病院や総合病院では入院をともなって行うことが一般的な手術ですが、外来通院での日帰り手術が可能な体制を整えています。
自由診療の再生医療と、保険診療のリンパ浮腫治療。
性質の異なる2つの診療領域を明確に切り分け、それぞれ独立した選択肢として提供している体制は、当院の特徴の一つです。
私自身、大学病院の医局時代からリンパ浮腫の診療に携わってきました。
リンパ浮腫を専門とする医療機関が限られている現状において、患者様にとっては相談先を見つけること自体に時間を要するケースもあります。
そうした状況の中で、再生医療と並行して保険診療のリンパ浮腫治療を続けていくことは、私自身、医師として向き合う意義を感じています。
大学病院での勤務から、クリニックの院長へ。国際的なニーズに応えるための診療環境の整備

―ここからは、楊院長ご自身の歩みについてお聞かせください。中国・河南省のご出身と伺っております。
楊:中国の河南省で生まれ、小学校の途中で日本に渡りました。
医学部を志したのは高校生の頃です。
形成外科を選んだのは、外科の中でも体の表面に関わる領域で、患者様の生活への影響に直接働きかけられる分野だと感じたからです。
たとえば、外傷で切断された指を再接合する手術、生まれつきの形態に対する再建手術、やけどや事故の後の組織の修復など、形成外科は外傷や疾患の後の状態を、できる限り元の機能や見た目に近づけていく領域です。
医師として、患者様の日常に関わる変化を目に見える形で支えられる仕事だと考え、進路として選びました。
―大学卒業後は、どのような経歴を歩まれてきたのでしょうか。
楊:大学病院の医局に入局し、関連する複数の医療機関で診療経験を重ねてきました。
医局では、1年から2年程度の単位で病院を異動しながら、診療と研究の両面で経験を積んでいく形が一般的です。
私もその流れの中で、複数の病院を経験してきました。
その過程で、リンパ浮腫の診療に深く関わるようになっていきました。
リンパ浮腫は、先ほどお話しした通り、根治を目指すことが難しい疾患です。
患者様にお伝えできる選択肢が限られている中で、長期的に症状と向き合っていくことになります。
診療を重ねながら、医師としてお手伝いできる範囲をもう少し広げられないか、と考えるようになっていきました。
そうした時期に、当院の創設者である辻医師から、院長就任の打診を受けました。
リンパ浮腫の保険診療と、自由診療としての再生医療。これら性質の異なる2つの診療を、それぞれ独立した選択肢として並行して提供できる体制があること。
医師としての診療の視野を広げ、多角的な選択肢を持って患者様に向き合っていける環境であることは、自然に前向きな気持ちで受け止められるお話でした。
そして2024年7月、アヴェニューセルクリニックの院長に就任することとなりました。
―貴院は海外からお越しになる患者様も多いと伺っています。楊院長ご自身が中国出身であることも踏まえて、その受け入れ体制についてお聞かせください。
楊:当院では、海外からお越しになる患者様の比率が、全体の2割程度を占めています。(*5)
中国、東南アジア、欧米など、地域はさまざまです。
特に中国からお越しになる患者様の場合、再生医療を提供する施設の選択肢がご自身の国の中でも複数ある一方で、法的な枠組みの整備状況が国によって異なります。
法整備が進んだ国で診療を受けたいというお考えで、日本を選んでお越しになる方が一定数いらっしゃいます。
私自身が中国語での直接的なコミュニケーションを行えることは、海外からお越しになる患者様にとっての心理的な負担を、軽減する一助になっていると感じています。
カウンセリングの際、専門的な内容を母国語で直接やり取りできることは、治療内容のご理解や、ご不明点の解消につながりやすい面があります。
また、海外からの患者様は、ご来院前にメッセージで詳細にご質問をいただくことが多く、ご来院後も時間をかけてカウンセリングを進めるケースが少なくありません。
そうした丁寧なやり取りに対応していけることも、海外からの患者様をお迎えしていく上での重要な取り組みだと考えています。
※5:2026年5月インタビュー時点、アヴェニューセルクリニック調べ
培養工程の半自動化と、再生医療を身近な選択肢とするための取り組み

―長期的なビジョンとして貴院が取り組まれていることや、これから注力していきたい領域についてお聞かせください。
楊:1つは、培養工程の半自動化に向けた取り組みです。
院内に培養施設を備えているとお話ししてきましたが、現在の培養工程は、高品質なものを作るため、培養士への負担が大きいです。
細胞を扱う作業には繊細さが求められ、培養士ごとの技術や経験によって、品質にばらつきが生じやすい性質があります。
当院では、培養士間で品質の差が出ないよう、工程の標準化や培養データの蓄積を続けてきました。
その上で、機械やAIの技術を活用しながら、培養工程をより安定して再現できる体制に整えていくことが、今後の取り組みの1つです。
工程の一部を機械化することで、品質の安定性をさらに高めながら、培養士の負担を軽減していけると考えています。
再生医療という選択肢を、必要とされる患者様に届けていくという観点についても、考えていることがあります。
幹細胞による治療は、2026年現在、自由診療として提供される領域です。(※6)
保険診療として運用されるためには、有効性などに関するさらなる検証の積み重ねが必要であり、現実的な時間軸としては、まだ先の話になります。
その上で、当院としては、培養工程の効率化や品質管理の知見を積み重ねていくことで、再生医療を検討される方が、より客観的な情報をもとに相談しやすい環境を整えていくことを意識しています。
―最後に、再生医療を検討されている読者の方に向けて、メッセージをお願いします。
楊:再生医療に関する情報は、さまざまな経路で目にする機会が増えてきました。
ただ、情報量が多い分、ご自身の状態に対して何が適しているのかを判断することは、簡単ではないと感じていらっしゃる方も多いと思います。
そうした時には、まず医師に相談していただき、ご自身の状態や治療の選択肢について、時間をかけてお話しいただく機会を持っていただければと思います。
当院では、カウンセリングの段階で、お引き受けできる内容と、難しい部分とを率直にお伝えするようにしています。
派手な打ち出しで治療をお勧めするのではなく、地道に診療を積み重ねてきたクリニックの1つとして、お役に立てる場面があればと考えています。
※6:2026年5月インタビュー時点
楊院長の言葉の端々から伝わってきたのは、再生医療という未だ研究の途上にある領域に対して、誇張せず、過小に語らず、できる限り正確に伝えようとする姿勢だった。
幹細胞による治療は、組織の修復に関わる作用を持つ細胞を活用するアプローチであり、病態によって適応や臨床的な経過には個別性が伴う。万能の選択肢として語ることもできなければ、選択肢として軽視することもできない領域だ。
そうした難しさを引き受けながら、培養から投与までの工程を院内の細胞培養加工施設で一貫して行い、患者様の来院日に合わせて細胞を仕上げる。コストも手間もかかる選択を、創設時から貫いてきた。
「自分たちでつくらないと、責任を持って提供できないので」。
楊院長が口にしたこの言葉には、再生医療を扱う一人の医師としての覚悟が滲んでいた。
リンパ浮腫の保険診療と、幹細胞による再生医療。性質の異なる2つの診療領域を明確に区分しながら、大学医局時代から培ってきたマイクロサージャリーの技術と、形成外科出身の医師たちが運営する培養体制を、表参道の地で開設以来積み上げてきた歩み。派手な打ち出しは避け、診療の実態と運営の体制を地道に継続してきたプロセスは、再生医療を検討する一人ひとりにとって、客観的な判断材料の1つになるはずだ。
まじめにやっている、それが伝わればいい。
楊院長が静かに語ったこの一言が、アヴェニューセルクリニックという場所のありようを、何より端的に物語っていた。
アヴェニューセルクリニックについて

| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| クリニック名 | アヴェニューセルクリニック |
| 院長 | 楊 睿(よう・えい) |
| クリニック紹介 | 2016年4月に表参道で開院し、自由診療の幹細胞による再生医療と、保険診療のリンパ浮腫治療を二本柱として提供。院内に細胞培養加工施設(CPC)を備え、患者から採取した細胞の培養から投与までの工程を、自院内で一貫して管理する体制をとっている。患者の来院日に合わせて細胞を調製する方式を採用し、凍結保存を経ない状態での投与を基本とした工程設計を行ってきた。リンパ浮腫治療では、顕微鏡を使ったマイクロサージャリーによるリンパ管静脈吻合術を、日帰りを基本とした体制で対応している。 |
| 所在地 |
〒107-0062 東京都港区南青山3-18-16 ル・ボワビル3F |
| アクセス | 東京メトロ銀座線表参道駅4番出口より徒歩1分 |
| 電話番号 | 0120-382-300(フリーダイヤル)/03-3796-5511(一般回線) |
| 診療時間 | 午前10時〜午後7時(日曜休診) |
| Webサイト | https://www.acell-clinic.com/ |
| 公式メディア |
YouTube https://www.youtube.com/channel/UCCojlCAv11_hMG7CEtXQa0w |
| ご予約 | 予約優先制 |