目を大きくしたい。
肌の調子を整えたい。
美容医療を思い立つきっかけは、そうした一つの願いにあるのかもしれない。
ただ、その願いの先には、なりたい自分やこれからの暮らしといった、もう少し大きな思いが控えていることもある。
東京・銀座のMaison PUREJUは、形成外科を修めた廣瀬雅史医師が2023年に開いた美容クリニックである。
院長がまなざしを向けるのは、施術そのものよりも、その先にある一人ひとりの人生だ。
目や口元、肌、たるみといった領域を一つに絞らず、複数の選択肢を組み合わせながら、その人に合う形を丁寧に探していく。

待合をなくした完全個室に、銀座の街を望む診察室。
「クリニック」という名をあえて外し、「家」を意味するメゾンを冠したこの場所には、院長なりの思いが込められている。
美容医療と、どのように向き合ってきたのか。
廣瀬医師に話を聞いた。
*1:日本形成外科学会 専門医一覧
*2:日本美容外科学会(JSAPS)専門医一覧
「目を大きくすること」は、ゴールではない

―Maison PUREJUが診療で大切にしている考え方を聞かせてください。
廣瀬:美容クリニックは、何のためにあるのか。
私がいつも立ち返るのは、その問いです。
たとえば「目を大きくしたい」というご相談は、よくいただきます。
ただ、目を大きくすること自体が、本当のゴールではありません。
その先に、何を求めているのか。
可愛くなりたい、若々しくありたい、仕事で自信を持ちたい。
願いの背景は、人によってさまざまです。
背景まで含めて、その人の人生がどうすれば豊かになるのか。
それを目的に置き、美容医療は一つの手段として提供しています。
―施術そのものではなく、その先を見ている、ということでしょうか。
廣瀬:だからこそ、問診の時間を大切にしています。
その方の生活スタイルや、人生で何を大切にしているのか。
どういう思いで足を運んでくださったのか。
一つひとつ、丁寧に聞き出していきます。
「これがしたい」と、はっきり決めて来られる方もいらっしゃいます。
ただ、お話を伺うと、それが最適とは限らないことも見えてきます。
SNSを通じて、たくさんの情報が手に入る時代です。
その中には偏った情報もあり、思い込みにつながることもあります。
希望どおりに進めることはできますが、それでご本人が満たされるとは限りません。
だからこそ、まず聞く。
聞いたうえで、その方に本当に合うものを提案できると考えています。
同じ「目を大きくしたい」でも、本当に必要なことは一人ひとり違います。
遠回りに見えても、まず背景を知ることが、結果として近道になると考えています。
一つの得意分野に、絞らない

―クリニックとしての特徴は、どこにあるとお考えですか。
廣瀬:美容医療の世界では、目なら目、糸のリフトなら糸、というように、一つの領域に強みを絞って掲げるところが少なくありません。
それも一つのあり方だと思います。
ただ、私たちは、一つに絞らず幅広く対応できることを大切にしています。
一つの施術だけで、その方の望む姿にたどり着けるとは限らないからです。
たとえば、目を大きくすること自体は可能です。
ただ、それで顔全体の印象が整うかというと、また別の話になります。
顔は、目や鼻、口元、輪郭、肌が互いに関わり合っています。
一か所だけを変えても、思い描いた姿に近づくとは限りません。
だからこそ、複数の選択肢を持っておく必要があると考えています。
―具体的には、どのような組み合わせになるのでしょうか。
廣瀬:外科的な手術だけでなく、皮膚科的なアプローチを組み合わせることが基本です。
外科であれば、目に限らず、口元や輪郭など、扱える範囲は幅広くあります。
そこに、肌そのものを整える皮膚科の治療が加わります。
選べる手段が増えるほど、その方に合う道を見つけやすくなります。
同じ悩みでも、顔立ちや生活によって、ふさわしい組み合わせは変わってきます。
一つの方法にこだわるのではなく、いろいろな手段のなかから、その人に合う組み合わせを考えていく。
それが、当院の診療の土台にある考え方です。
実際に訪れる方の年代は幅広く、口元のご相談では、20代や30代の方も少なくありません(*3)。
一つの悩みだけでなく、いくつかの気がかりを抱えて来られる方もいらっしゃいます。
*3:2026年6月インタビュー時点、Maison PUREJU調べ
敬遠されがちな口元に、あえて向き合う

―口元の治療に力を入れていると伺いました。まず、口元という領域について聞かせてください。
廣瀬:口周りは、ていねいに行えば自然な仕上がりを十分に目指せる領域だと考えています。
だからこそ、不自然にならないことを、とりわけ大切にしています。
口元は、その人の表情や、顔全体の印象を大きく左右する場所です。
難しさがあるからこそ、慎重に向き合う価値があると考えています。
当院では、外科の手術に関するご相談のうち、およそ6割から7割が、口元に関わるものです(*4)。
口元に悩みを抱える方が、それだけいらっしゃるということなのだと受け止めています。
―自然に仕上げるうえで、大切にしていることを聞かせてください。傷跡を気がかりに思う方もいるかと思います。
廣瀬:一つは、年齢に合っていることです。
口元は、加齢とともに、形も動きも少しずつ変わっていきます。
若い頃のままの形が、年齢を重ねた顔になじむとは限りません。
もう一つは、笑ったときの動きが、自然に見えることです。
よくご相談いただくのは、口角を上げる口角挙上という手術です。
口角が上がりすぎたり、口先だけが目立つ動きになったりすると、かえって不自然に映ります。
派手さよりも、ふだんの表情になじむことを大切にしています。
以前は、口元の手術というと、変化の大きな仕上がりが思い浮かべられることもありました。
自然に仕上げられることは、少しずつ知られてきたところです。
そして、もう一つ気を配っているのが、傷跡です。
かつては、皮膚を切り取り、外側に傷が残る方法が中心でした。
当院では、口の中もあわせて切開し、傷ができる位置を、表から見えにくいところへ移す方法をとっています。
正直に申し上げると、傷が残らないわけではありません。
半年ほどをかけて、少しずつ落ち着いていきます。
メイクをすれば分かりにくい程度に収まる場合もありますが、その度合いには個人差があります。
*4:2026年6月インタビュー時点、Maison PUREJU調べ
流行ではなく、理論で選ぶ

―設備や医療機器について、こだわっている点を聞かせてください。
廣瀬:機器は、幅広く揃えるようにしています。
なかでも力を入れているのが、たるみへの治療です。
顔のたるみには、皮膚から深い層まで、いくつもの層が関わっています。
その層ごとに合わせて、はたらきかける機器を使い分けるようにしています。
一つが、高周波を用いたXERF(ザーフ)です(*5)。
二つの周波数を使い分けることで、肌の浅い層から、SMASと呼ばれる深い層まで、熱を届けられる機器です。
肌のハリを支えるコラーゲンは、年齢とともに減っていきます。
その生成に関わる細胞へ、熱の刺激ではたらきかけると考えられています。
たるみへのアプローチの一つとして、取り入れています。
ただ、機器はあくまで手段の一つにすぎません。
その方の状態を診たうえで、必要と判断したものだけをご提案しています。

―機器を選ぶとき、大切にしていることはありますか。
廣瀬:流行を理由に導入することはありません。
なぜその機器が生まれたのか。
どういう理論で、どこにはたらきかけるのか。
そこに納得できて、はじめて導入を決めます。
こうした機器には、海外で作られたものが少なくありません。
私は、その本社や工場まで足を運び、開発に携わったエンジニアから、直接話を聞くようにしています。
なぜこの機器を作ったのか。
その考えを確かめたうえで、自分自身でも施術を受けてみます。
そこまでして、ようやく導入を判断します。
納得できないものを、患者さんに提供したくないからです。
自分がすすめる施術には、責任を持ちたいと考えています。
*5:XERF(ザーフ)は、国内で薬機法上の承認を受けていない医療機器です。医師の判断のもと、個人輸入により入手しています。同等の効能・効果で国内承認されている医療機器はありません。紅斑、ほてり、熱傷、神経麻痺、色素沈着、毛包炎、腫れなどが生じる場合があります。重篤な副作用が生じた場合も、医薬品副作用被害救済制度の対象とはなりません。
「あなただけの空間」であるために

―完全個室にこだわっていると伺いました。その理由を聞かせてください。
廣瀬:美容クリニックには、どこか足を運びにくさがあると思っています。
その入り口のハードルを、少しでも下げたい。
そう考えたときに、まず気になったのが、待合室でした。
大きな待合で、ほかの患者さんと顔を合わせて座る。
その時間が、私自身、得意ではありませんでした。
だからこそ、待合をなくし、すべてを個室にしています。
来院してから帰るまで、ほかの方と顔を合わせずに過ごすことができる。
ここは、あなただけの空間ですよ。
そう伝えられる場にしたいと考えました。
クリニックの名前に「クリニック」という語をあえて入れず、「家」を意味する「メゾン」を選んだのも、その思いの表れです。
「メゾン」には、もう一つの意味があります。
オートクチュール、あつらえの一着という意味です。
既製品ではなく、その人のために仕立てる。
一人ひとりに合わせた診療でありたいという思いを、名前に重ねました。
「ピュレジュ」は、「ピュア」と、若々しさを意味する「リジュビネーション」という言葉を組み合わせた造語です。
年齢を重ねても、自分らしくいられるように。
長くお付き合いしていきたいという願いを込めています。

―院内の設計で、ほかに工夫されている点はありますか。
廣瀬:一つは、銀座の街並みを、あえて感じられるようにしていることです。
診察室の窓を閉め切らず、外の景色が目に入るようにしています。
ここまで歩いてくる途中にも銀座の街が見えるよう、動線を考えました。
特別な場所に足を運んだ。
そんな時間になればと思っています。
もう一つは、患者さん同士が、廊下でも顔を合わせずに済むようにしていることです。
通路の角に工夫を凝らし、すれ違わない動線をつくりました。
目の前の方との時間に集中できるよう、スタッフ同士の連絡にも、インカムは使っていません。
内装も、華やかさよりも、落ち着いて過ごせることを大切にしています。
気持ちのやわらぐ空間で、じっくり相談していただきたいと考えています。
カウンセリングの時間も、ゆったりと過ごせる広さを用意しました。
窮屈な空間では、落ち着いて話すことが難しくなります。
まずは肩の力を抜いて、思っていることを話してほしい。
そんな時間から、診療は始まると考えています。
「ゼロから作る」ことに惹かれて

―廣瀬院長ご自身についてうかがいます。医師を、そして美容外科を志すまでの歩みを聞かせてください。
廣瀬:家族に、医師はいません。
両親は会社員で、医療とは縁のない家庭でした。
神戸で育ったのですが、家の近くに、開業医が軒を連ねる通りがありました。
病院が身近にある環境で、なんとなく医療を意識するようになったのだと思います。
医学は、理系でありながら、文系のような側面も併せ持っています。
その幅の広さに惹かれ、高校の終わりごろに、医師を志しました。
形成外科を選んだのは、再建外科という分野に出会ったことが大きいです。
額から鼻を、あるいは体の一部から別の部位を形づくる。
ゼロから何かを作り出すことに、強く心を動かされました。
美容の道に進むことは、大学生だった2000年代半ばには、すでに決めていました。
美容医療が、まだ一般的ではなかった時代です。
それでも、進みたい気持ちは変わりませんでした。
保険診療が、傷んだところに対してアプローチする医療だとすれば、美容は、何もないところから可能性を広げていくことができる医療だと考えています。
その自由さに、魅力を感じていました。

―病院に勤務しながら、経営学修士(MBA)も取得されています。その背景を聞かせてください。
廣瀬:いずれ美容で開業することは、早くから決めていました。
そこから逆算して、歩んできたつもりです。
美容の土台には、形成外科の基礎が欠かせません。
だからこそ、まずはそこをしっかり修めました。
MBAを学んだのも、同じ延長にあります。
私自身、医療には向き合ってきましたが、世の中の仕組みには、まだ疎いところがありました。
美容医療を、もっと前向きなものとして広めていきたい。
そう考えたとき、医療の知識だけでは足りないと感じました。
経営や社会の仕組みを、土台として学んでおきたい。
何もかも自分でこなすためではなく、あくまで基礎を備えるために、MBAを学びました。
美容医療の価値を、もっと広く

―この先、クリニックとしてどのようなことを目指していきたいとお考えですか。
廣瀬:まずは、目の前の患者さん一人ひとりを、大切にすること。
それが、すべての土台にあります。
そのうえで、もう少し大きな願いを抱いています。
美容医療は、特別で、どこか縁遠いもの。
そんなふうに感じている方は、まだ少なくありません。
ですが本当は、日々の暮らしを、そっと明るくしてくれるものです。
鏡を見るのが、少し楽しみになる。
その日の気分が、ほんの少し軽くなる。
そうした変化を、より広く知っていただき、体験してほしいと思っています。
当院は、そのための場の一つにすぎません。
それ以上に、美容医療そのものを、もっと身近なものにしていくこと。
そこに、いっそう重きを置きたいと考えています。
―これから、どんな方に美容医療を届けていきたいとお考えですか。
廣瀬:とりわけ、男性です。
女性のあいだでは、美容医療はずいぶん身近になりました。
一方で、男性は、まだ一歩を踏み出しにくい。
「男性が美容医療なんて」という空気も、どこかに残っているのかもしれません。
そのため、なんとなく調子が上がらない、気持ちが晴れない。
そんな状態を、抱えたまま過ごしている方も、少なくないように思います。
本当は選べる方法があるのに、知らないまま我慢してしまう。
それは、もったいないことだと感じています。
美容医療は、あくまで手段です。
目を二重にすること自体が、目的ではありません。
その先で、少し自信を持って人と会えたり、毎日を前向きに過ごせたりする。
そこまで含めて、男性にも届けていきたいと思っています。
年齢を重ねるなかで訪れる、心や体の変化にも、寄り添えることがあります。
これからは、男性に向けた取り組みにも、力を注いでいきます。
変わりたい気持ちに、そっと寄り添う

―受診を考えている方へ、メッセージをお願いします。
廣瀬:美容医療は、うまく活用してもらえたらと思っています。
特別なものと、身構える必要はありません。
生活の一部、人生の一部として、気負わず取り入れてもらえたら嬉しいです。
何を、どうすればいいのか。
迷っている方は、少なくないはずです。
たとえば、目を二重にする。
それ自体が、ゴールではありません。
大切なのは、どんな自分でいたいか。
顔のこと、体のこと、これからの暮らしのこと。
一緒に考えていきたいと思っています。
もう少し、自分を変えたい。
そんな気持ちがあれば、どうぞ気軽に足を運んでみてください。
一度きりのお付き合いではなく、年齢を重ねる折々で、長く寄り添える場所でありたいと考えています。
取材を通して感じたのは、廣瀬院長が施術そのものよりも、その先にある一人の人生を見つめているということだった。
目を大きくする、肌を整える。
一つひとつは、あくまで手段にすぎない。
願いの背景にまで耳を傾け、複数の選択肢を組み合わせて、一人ひとりに合う形をさがしていく。
ゼロから何かを作り出すことに惹かれてきた歩みが、診療の姿勢とも重なって見えた。
機器を、流行ではなく理論で選ぶ。
待合をなくし、家のような空間を用意する。
細部へのこだわりの一つひとつに、目の前の人を大切にしたいという思いがにじんでいた。
一度きりの関わりではなく、年齢を重ねる折々で、寄り添っていく。
Maison PUREJUという名には、長く寄り添いたいという願いが込められている。
美容医療を、もっと身近なものへ。
廣瀬院長はその思いを胸に、日々診察室に立っている。
Maison PUREJUについて

| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| クリニック名 | Maison PUREJU |
| 院長 | 廣瀬雅史(ひろせ まさし) |
| クリニック紹介 | 2023年開院。形成外科を修めた院長が、目や口元、肌、たるみまで、外科と皮膚科の両面から幅広く診療する美容クリニック。すべて完全個室とし、一人ひとりに合わせた診療を大切にしている。 |
| 所在地 |
〒104-0061 東京都中央区銀座5丁目3-13 Ginza SS 85ビル 4F |
| アクセス | 東京メトロ「銀座駅」徒歩1分/JR「有楽町駅」徒歩5分 |
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