皮膚科 美容クリニック インタビュー

「病気を見るのではなく、その人を見る」。形成外科の専門性を生かし、一人ひとりに向き合う船橋ゆーかりクリニック

更新日:2026/09/03
寺田 伸一

インタビュー

寺田 伸一

「病気を見るのではなく、その人を見る」。形成外科の専門性を生かし、一人ひとりに向き合う船橋ゆーかりクリニック

千葉県船橋市、JR船橋駅北口から徒歩2分の場所にある「船橋ゆーかりクリニック」。

同院は2009年の開院以来、皮膚科・形成外科・美容皮膚科を横断し、地域に根差した診療を続けてきた。

寺田伸一院長は、形成外科専門医としての知見を生かした診療に加え、皮膚症状だけでなく、患者の生活背景や栄養状態にも目を向ける診療を実践している。

今回は、「病気を見るのではなく、その人を見る」という診療理念のもと、患者一人ひとりに寄り添う医療への思いや、形成外科の技術と栄養学をどのように日々の診療へ生かしているのかについて伺った。

船橋ゆーかりクリニック
寺田 伸一
寺田 伸一
院長
広島大学医学部を卒業後、形成外科を中心に研鑽を積み、総合病院やクリニックで幅広い診療に従事。2009年、船橋ゆーかりクリニックを開院。形成外科専門医(*1)として、形成外科だけでなく、皮膚科や美容医療まで幅広く対応し、必要に応じて栄養学的な分析も取り入れながら、患者一人ひとりに合わせた診療を行っている。2021年には、アイルランドの絵本『パフィンちゃん どこにいるの? スケリッグ島のぼうけん』(鳥影社)の翻訳を手がけるなど、医療以外の分野でも活動している。「病気を見るのではなく、その人を見る」という考えのもと、地域に根ざした「あなたの肌のかかりつけ医」を目指して診療を続けている。

*1:日本形成外科学会

形成外科・皮膚科・美容皮膚科を横断して診る、その理由

「その人を見る」という診療への思いを語る寺田院長
「その人を見る」という診療への思いを語る寺田院長

幅広い診療を行われていますが、先生はどのようなお考えで日々の診療にあたられていますか。

寺田:私は形成外科医として、大学病院や災害医療センターで多くの患者様を診療してきました。

その中で感じたのは、皮膚の悩みは命に関わらなくとも、その方の自信や社会生活に大きく関わるということです。

湿疹やアトピー、やけど、ケガ、粉瘤(ふんりゅう)といった保険診療の対象となる疾患だけでなく、シミや薄毛、ニキビ跡などの美容的なお悩みも、ご本人にとっては心に重くのしかかる問題です。

そこで私は、皮膚に関することであればまず相談していただける存在でありたいと考え、「あなたの肌のかかりつけ医」を目指して診療を続けています。

日々の診療で最も大切にしているのは、「病気を見るのではなく、その人を見る」ということです。

同じ病名でも、患者様によって暮らしや抱えている悩みは全く異なります。

お仕事をされていてダウンタイム(術後の回復期間)が取れない方もいれば、時間をかけてでも目立たなくしたいという方もいらっしゃる。

その方が何に困り、どうなりたいのかを丁寧に伺いながら、一緒に治療方針について考えることを大切にしています。

木の温もりを感じる受付スペース
木の温もりを感じる受付スペース

─保険診療から美容まで、一人の医師が切れ目なく診る体制にはどのような意義があるのでしょうか。

寺田:やけどやケガの治療を行った後に残る傷跡や色素沈着、ニキビ治療後の赤みやニキビ跡などは、保険診療の枠組みだけでは十分に改善を目指すのが難しい場合があります。

そのような時に、形成外科医として傷の治療を行いながら、必要に応じてレーザーや光治療、スキンケア指導などを一貫して提案できることが、私の強みです。

皮膚の症状が落ち着いた後も、美容の相談まで含めて一つのクリニックで切れ目なくサポートできる体制が、患者様にとっての負担軽減につながると考えています。

また、形成外科専門医としての視点を持つことで、外科的な処置の際にも複数の選択肢をご提案できます。

例えば、粉瘤の手術でも、大きさや部位に応じて切開の方法を選びます。

また、目立つ傷跡を修正する際には、傷がなじみやすくなるよう、直線ではなくジグザグに切開して縫合することもあります。

患者様の状態やご希望に適したアプローチを判断し、多様な選択肢を持てることは、専門医ならではの意義だと感じています。

皮膚だけでは終わらせない。栄養状態にも目を向ける診療

明るく落ち着いた待合室。タペストリーアーティストによる色鮮やかな作品が空間を彩る
明るく落ち着いた待合室。タペストリーアーティストによる色鮮やかな作品が空間を彩る

─「その人を診る」というお考えは、先生が取り入れられている栄養学にもつながるのでしょうか。

寺田:はい。皮膚の不調を診る際、表面的な皮膚症状だけでなく、食生活や栄養状態が治療経過に影響する可能性にも目を向けています。

医師として長年診療を続ける中で、自分自身や患者様が将来どうすれば健やかに過ごせるのか、病気を予防するにはどうしたらいいのかを探求したいという思いが強くなりました。

そうしてさまざまな学会に足を運ぶ中で、点滴療法や栄養療法を実践されている先生方と関わる機会がありました。

そこから私自身もオーソモレキュラー栄養医学(分子栄養医学)を本格的に学び、ONP(ORTHOMOLECULAR NUTRITION PROFESSIONAL)という資格を取得しました。

機械やデバイスを用いる治療ももちろん大切ですが、人間の体が本来持つ力を支える基本は食事や栄養です。

タンパク質・ビタミン・ミネラルのような栄養素が不足していれば、皮膚のコンディションも整いにくくなります。

─栄養学の視点を、実際の診療にはどのように組み合わせていらっしゃるのですか。

寺田:象徴的な例として、耳のケロイド治療が挙げられます。

私は大学病院に勤務していた頃、「小耳症」という先天的に耳が小さい子どもたちの再建手術に携わっていました。

これは肋軟骨などを用いて耳の形を作るという繊細な手術で、その経験から耳の複雑な構造を熟知しています。

そのため、開業後も耳のケロイド治療には特に力を入れてきました。

ケロイドの治療においては、形成外科専門医としての緻密な外科的アプローチが不可欠です。

しかし、それだけではありません。

関連する基礎研究や文献を踏まえ、患者様の状態に応じて亜鉛などの栄養学的な分析も併せて行っています。

専門的な外科の技術と、特定の栄養素を補う内側からのサポート。

この両輪を組み合わせることが、患者様にとっての一助になると考えています。

─皮膚の治療を入り口として、全身の健康を見つめ直すことができるのですね。

寺田:その通りです。例えば、なかなか良くならないシミなどでお悩みの場合、皮膚症状の経過を見ながら、必要に応じて食生活や生活習慣について伺い、栄養学的な分析を行うこともあります。

私は病変だけを診るのではなく、その方の体全体や生活背景も含めて診たいと考えています。

だからこそ、形成外科としての技術だけでなく、栄養という視点も診療の中に取り入れています。

皮膚の不調をきっかけに、栄養状態や生活習慣にも目を向け、カラダ全体を整えること。

それが、私たちの目指す診療です。

患者様の「悩みの深さ」に寄り添う。対話から始まる診療

診察室や処置室が並ぶ院内
診察室や処置室が並ぶ院内

─不安を抱えて来院される患者様と接する際、大切にされていることはありますか。

寺田:診察室に入る前から、不安を抱えて来院される患者様は少なくありません。

そのため、私たちは「質問しやすい雰囲気づくり」を重視しています。

限られた診療時間の中ではありますが、まずは患者様に言いたいことを言ってもらうように心がけ、お話を途中で遮らないように努めています。

「こんな小さなことで受診してもいいのだろうか」と感じながら来院されたお気持ちを、まずはしっかりと受け止めるようにしています。

─これまでに印象に残っている患者様のエピソードがあれば教えてください。

寺田:長年、耳のピアスケロイドに深く悩まれていた患者様のことが特に印象に残っています。

過去にさまざまな治療を試してもなかなか症状が落ち着かず、人目が気になって髪を上げることもためらっておられました。

その方の不安なお気持ちをじっくりと伺い、当院で形成外科的な手術と術後治療を行い、その後も慎重に経過を診ていました。

すると数年後、その方が「人の視線を気にしなくなりました」とお言葉を寄せてくださったのです。

それを読んだ時、私たちが治療しているのは病変そのものだけでなく、その方の生活や人生の質なのだと改めて強く感じました。

診察室の様子
診察室の様子

─まさに「その人を見る」という診療思想が形になったエピソードですね。

寺田:はい。他にも、鼻先にある1cmほどの大きな黒子に長年悩まれていた方が、十分に相談した上での切除手術と、創傷治癒を支えるための栄養面のアドバイスを経て良い経過をたどり、「人の視線が気にならなくなった」と大変感謝してくださったこともあります。

客観的には小さな症状に見えても、ご本人にとっては心に重くのしかかる大問題であることは少なくありません。

そのお気持ちをしっかりと受け止めることを、私たちは第一に考えています。

納得して治療を選べる医療へ。メール相談と「見える化」の工夫

メール相談にも院長自ら対応している
メール相談にも院長自ら対応している

─貴院では、先生ご自身が「メール相談」に回答されていると伺いました。この取り組みについて教えてください。

寺田:実はこのメール相談の原点は、1990年代のパソコン通信の時代にまでさかのぼります。

当時、「健やか村」というネットワーク上のコミュニティがあり、そこで病気に関する質問に答える活動を趣味のように行っていました。

当時は回答できる医師も私を含めて2人ほどしかおらず、全国からの形成外科に関連する相談にボランティアで乗っていたのです。

その頃から、医療機関に足を運べない方や、まずは誰かに相談したいというニーズが強くあることを肌で感じていました。

そのため、クリニックを開院してからも、遠方にお住まいの方や、すぐには来院できない方に対して、わかる範囲でアドバイスを送り、手助けをしたいという想いでメール相談を続けています。

─ご多忙な診療の合間を縫って回答されるのは大変ではありませんか。

寺田:毎日、数通メール相談をいただきますが、できるだけ早めにお返事しています。

ご相談の内容は多岐にわたりますが、わかる範囲でアドバイスをご返信しています。

すべては「必要な情報をわかりやすく届け、患者様が自ら納得して判断できるようにする」という共通の想いからです。

また、ウェブサイト上で医療広告に関する考え方も明示しているのは、誠実な情報開示に努めることで、患者様が受診を検討する際の負担を少しでも減らしたいという意図があります。

─診療では、患者様に状態をわかりやすく伝えるために、どのような工夫をされていますか。

寺田:いろいろな方法がありますが、その一つがアンテラ3Dという皮膚画像解析装置です。

肌の赤みや色素沈着、凹凸などを画像で確認できるので、患者様にも状態をご理解いただきやすくなります。

美容診療におけるシミやシワ、毛穴の確認はもちろんのこと、保険診療で診るニキビやニキビ跡、さらには一部の皮膚疾患の経過観察など、当院では幅広い診療においてこの機器を活用しています。

皮膚画像解析装置「アンテラ3D」を持つ院長
皮膚画像解析装置「アンテラ3D」を持つ院長

シミや赤みといった症状は、ご本人が何となく気になっていても、それがどの程度なのかを客観的に把握することは簡単ではありません。

治療を進める中で、医師から見れば改善が認められていても、患者様ご自身は「変わっていない気がする」と感じることもあります。

こうした機器を活用することで、患者様ご自身にも肌の状態や治療前後の変化を画像で確認していただきやすくなります。

言葉だけでは伝わりにくい変化を共有しながら、納得して治療を選んでいただくためのコミュニケーションツールとして役立っています。

再生医療の研究から地域の診療へ。これまでの歩みと医療哲学

受付に掲げられたクリニックロゴ
受付に掲げられたクリニックロゴ

─先生の医療哲学は、これまでのどのようなご経験から形成されたのでしょうか。

寺田:私が医師を志す原点となったのは、小学生の時に自宅で祖父を看取った経験です。

人の死というものに直面し、「医療」という存在を深く考えるようになりました。

また、義理の叔父が整形外科医をしており、妹がやけどをした際に診てもらったことで、医師という職業が身近にあったことも大きいです。

その後、手先が器用だったこともあり、皮膚表面の形成に関心を持ちました。

東京の大学病院で研修医を募集しているポスターを偶然目にしたことがきっかけで、形成外科の道へ進む決断をし、上京しました。

─2000年にはアメリカのボストンへ留学されたそうですね。そこではどのような研究をされたのでしょうか。

寺田:大学病院で先天異常を持つ子供たちの治療に携わる中で、再生医療に強い関心を抱くようになりました。

ちょうどその頃、マウスの背中に培養軟骨でヒトの耳の形を再現するという大変興味深い講演を聴く機会があり、「ここで研究したい」と強く思ってボストンの研究室へ飛び込んだのです。

厳しい環境の中、必死に研究に打ち込みました。

技術力だけでなく分子生物学の知識も求められる過酷な日々でしたが、その経験が医師としての基盤を鍛え直す貴重な時間となりました。

院内には資格や認定証、感謝状などが掲示されている
院内には資格や認定証、感謝状などが掲示されている

─そこから、どのような経緯で開業に至ったのでしょうか。

寺田:帰国後は、大学病院や災害医療センターなどで研鑽を積みました。

立川のクリニックで診療をさせていただく機会もあり、そこで美容皮膚科の基礎を学んだりもしました。

大学病院などで経験を積む一方、次第に自分の考えをより反映した診療をしたいという思いが強まり、開業を決意しました。

─船橋という場所を選ばれたのには、どのような経緯があったのでしょうか。

寺田:船橋での開院は、開業準備を支えてくれた方とのご縁がきっかけでした。

さまざまなタイミングが重なり、この場所で診療を始めることになりました。

自分のクリニックを持ったことで、「病気を見るのではなく、その人を見る」という診療を実践できるようになったと感じています。

「どんな小さな悩みでも相談してください」──肌から人生に寄り添うクリニックへ

「どんな小さな悩みでもご相談ください」と語る寺田院長
「どんな小さな悩みでもご相談ください」と語る寺田院長

─最後に、クリニック選びに悩む患者様へのメッセージをお願いいたします。

寺田:皮膚の悩みに関して、「この程度で受診していいのかな」と我慢してしまう方が少なくありません。

しかし、早く相談していただければ、より負担の少ない方法で改善の道を探ることができる場合があります。

当院には、赤ちゃんから90代の方まで、さまざまな世代の方が来院されます。

お子さんの診療をきっかけに、今度はお母さんが相談されたり、さらにご主人も受診されたりと、ご家族で通ってくださるケースもあります。

美容医療についても、決して特別なものではなく、健康な肌づくりの延長線上にあるものだと私たちは考えています。

皮膚の症状から栄養状態まで総合的に考え、患者様が自分らしく前向きな毎日を送れるよう、不安に寄り添いながらサポートいたします。

どんな小さな症状でも構いません。

気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

インタビューを終えて

寺田院長の語り口から感じられたのは、「人を診る」ことに対する実直でブレない姿勢である。

パソコン通信時代から続く無料相談への回答や、ボストンでの研究に打ち込んだエピソードからは、患者の悩みを解決するための労力を惜しまない真摯な人柄が伝わってくる。

長年、耳のピアスケロイドに悩み、人前で髪を上げることもためらっていた患者が、手術と術後治療を経て、数年後に「人の視線を気にしなくなりました」と言葉を寄せたというエピソードは、同院の医療が病変だけでなく、その人の生活や心にも向き合っていることを象徴している。

「病気を見るのではなく、その人を見る」。

その言葉は単なる診療理念ではなく、寺田院長の日々の診療の中で、一人ひとりの患者と向き合う姿勢として貫かれていた。

船橋ゆーかりクリニックについて

船橋ゆーかりクリニックについて
項目 詳細
クリニック名 医療法人社団茉悠乃会 船橋ゆーかりクリニック
院長 寺田 伸一(てらだ しんいち)
クリニック紹介 2009年開院。「病気を見るのではなく、その人を見る」という理念のもと、皮膚科・形成外科・美容皮膚科を横断した診療を提供している。形成外科専門医としての知見を生かし、皮膚症状だけでなく患者の生活背景や栄養状態にも目を向け、メール相談や画像解析装置を活用した説明など、納得して治療を選べる環境づくりに取り組んでいる。
所在地 〒273-0005
千葉県船橋市本町5丁目3-5 伊藤LKビル4階
アクセス JR船橋駅北口から徒歩2分
電話番号 0120-124-103
診療時間 月・火・水・金 9:00〜18:00、土 9:00〜16:00
休診日
木曜・日曜・祝日
Webサイト https://i-my.jp
ご予約 Web予約、電話予約
インタビューした人
小泉真治
フォトライター/編集者
小泉真治
企業広報・教育分野を中心に、インタビュー記事の企画・撮影・執筆を一貫して担当。人物の「想い」や背景を引き出し、言葉とビジュアルの両面から伝えるコンテンツを制作している。製造業・教育分野では、工業高校と産業界をつなぐプロジェクトを立ち上げ、メディアの企画・編集を主導。企業向け健康支援サービスを展開する企業にて、コンテンツ制作およびメディアの企画・編集・制作を統括。
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