「この国を、自信あふれる男性があふれる国へ」。月間約8万人が来院するゴリラクリニック、対話を大切にする男性美容の選択肢
日本における男性の美容医療への関心は、幅広い世代において関心が高まる傾向にある。(*1)
かつては、男性が脱毛やスキンケアのためにクリニックへ通うことは、一部の方に限られたものであるという印象があった。
しかし、晩婚化(*2)や働き方の多様化、自己実現の手段としての身だしなみへの投資など、ライフスタイルの根本的な変化に加え、オンラインコミュニケーションの普及(*3)といった社会構造の変革も背景にあり、男性美容は今や清潔感の維持や身だしなみの一環として検討される選択肢の一つとなってきている。
そうした市場環境の中、全国に23院(*4)の展開を通じて、男性の美容医療という選択肢を広げているのが「ゴリラクリニック」だ。1ヶ月の来院患者数は約8万人にのぼる。(*5)

治療には少なからず時間的、経済的、そして何より「他人に悩みを打ち明ける」という精神的な負担が伴う。多くの男性にとって、美容クリニックの門を叩くことは決して容易な決断ではないはずだ。
数多くの男性専門クリニックが存在する現代において、なぜゴリラクリニックは選ばれるのか。そこには、患者さんの負担に配慮しながら効果を示す医療技術のエビデンスと、男性特有の複雑なコンプレックスに寄り添う「ナラティブ(対話)」の力があった。
大学卒業後から形成外科・美容外科において研鑽を積み、多くの男性の悩みと向き合ってきた医療法人社団十二会 ゴリラクリニックの稲見文彦総院長。なぜ彼はこれほどまでに患者との「対話」と「背景にある人生」にこだわるのか。
一人の医師として患者の人生に伴走し続けたいという思いと、ゴリラクリニック独自の治療アプローチに迫った。
*1:リクルート「美容センサス2024年下期」
*2:厚生労働省「令和5年人口動態統計」
*3:総務省「インターネットの登場・普及とコミュニケーションの変化」
*4:2026年4月21日インタビュー時点
*5:2014年と2024年の比較、ゴリラクリニック調べ
月間延べ8万人が訪れる。男性美容の「一般化」とコロナ禍がもたらしたパラダイムシフト

―まずは、ゴリラクリニックの来院状況と、患者さんの層についてお聞かせください。開院からの10年間で、大きな成長を遂げていらっしゃいますね。
稲見総院長(以下、稲見): おかげさまで、全国で1ヶ月に約8万人(*6)もの患者さんにご来院いただける規模にまで成長いたしました。1日平均に換算しますと、各院で約250名前後(*6)ほどの方々がお越しになっている計算になります。多くの患者さんにご支持をいただいている何よりの証拠だとありがたく受け止めています。
特筆すべきは、患者さん層そのものに変化が生まれていることです。開院当初は20代~30代のビジネスマンが中心でしたが、その世代に追随するように40代・50代のいわゆる「ミドル層」の患者さんが増えているのが特徴です。
今では、会社で「脱毛している」ということを隠すような時代ではなくなりつつありますね。
―読者の皆さまの中には、まだ「男性が美容クリニックに通うのはハードルが高いのでは?」と思っている方もいるかもしれません。実際の現場ではどのような光景が見られるのでしょうか。
稲見:ゴリラクリニックの現場を見ていて女性の美容医療と違いユニークだと感じるのは、男性の美容医療がポジティブなものとして自然に受け入れられているケースが出ているという点です。
たとえば職場で部下が脱毛していると聞きつけた上司の方が「俺も一緒に行く」と同伴されたり、ご友人と一緒に来られたりするケースが日常茶飯事です。さらに面白いのはご家族のケースで、お父様とお子様が一緒に来院される際、ネガティブな空気は全くありません。逆にお父様が先に当院で施術をお受けになり、それに納得されて「お前も行ってみるか」とお子様を連れてこられることもよく見受けられます。
男性の間で、コンプレックスを解消するための美容医療が、ポジティブでオープンな文化として認識されつつあることは、私自身この仕事をしていて非常に嬉しく、また興味深い傾向だなと日々感じています。

―2010年代半ば頃から、なぜここまで男性美容が一般化したとお考えでしょうか。要因は何だったのでしょうか。
稲見: 転機となったのは、コロナ禍だったと分析しています。未曾有の事態は社会に混乱をもたらしましたが、我々の業界においては意識変化の後押しとなりました。
当院も開院から数年が経ち、院数も増えて「これからもっと全国展開を軌道に乗せていくぞ」と意気込んでいた時期でした。当初は「これからどうなってしまうのか」と、我々も深刻な危惧を抱きました。緊急事態宣言で旅行も外食も制限され、社会全体が停滞する中で、美容クリニックはどうなるのかと。
しかし、蓋を開けてみると、人々の意識は自分自身へと向かいました。「外で時間やお金を使えないなら、自分自身に投資しよう」と考える方がいらっしゃったのです。そして何より大きかったのが、オンライン会議(ZoomやTeamsなど)の普及です。
これまで男性の多くは、自分の顔を客観的に、しかも全体像としてまじまじと見る機会はほとんどありませんでした。ところが、オンライン会議の画面に自分の顔が大写しになった時、多くの男性が「自分はこんな顔をしていたのか」と衝撃を受けたようです。そこで「ここの毛穴が気になる」「ヒゲの濃さが気になる」と、客観的な視点で自身の外見上の悩みを強く認識するようになったのです。
加えて、マスクを着用し、リモートワークが導入されるようになったことで、いわゆる「ダウンタイム(施術後の赤みや腫れが引くまでの期間)」のある治療が受けやすい土壌が整いました。マスクで隠せる上に会社に行かなくていい環境ができたことで、需要が高まったのです。こうした様々な要素が複雑に絡み合い、うまく作用してくれたことが、男性美容の普及と当院の成長に繋がったと考えています。
*6:ゴリラクリニック 男性来院者数推移(2020年10月~2025年9月)
「ゴリラの動物病院ですか?」という誤解からの脱却。多様な悩みに応える総合美容への進化
―今でこそ「ゴリラクリニック=男性美容のクリニック」という認知が定着していますが、ここに至るまでにはどのようなご苦労があったのでしょうか。

稲見: 特に注力したのは、やはり正しく認知していただくことそのものでした。
今でも覚えていますが、開院して間もない頃、池袋に看板を出したのですが、道行く人がそれを見て「え、何これ。ゴリラ専門の動物病院かしら?」と話しているのを耳にしたんです。
我々が「男性専門の美容・脱毛クリニックである」ということを世間にどう知っていただくか、そこには本当に腐心しました。
「ゴリラクリニック」というインパクトのあるネーミング自体も、男性のコンプレックスや力強さにフォーカスを当て、まずは知ってもらうための戦略的な側面がありました。
努力の甲斐あって認知度は高まりましたが、一方で「ゴリラクリニック=脱毛クリニック」というイメージが強固に定着してしまったという課題もありました。

―現在のメニュー構成の比率はどのようになっているのでしょうか。
稲見: 医療脱毛を希望される方が一番多い状況は変わらず、具体的な数値はお出しできかねるのですが、概ね「医療脱毛が全体の半数以上を占め、残りがその他の施術」という割合になっています。
ここには我々の戦略的な進化が隠されています。
2010年代半ば以降、男性向け美容医療や男性特化クリニックの需要は拡大しました。我々が「脱毛1本」でこの先も突き進んでいくことはリスキーであると、かなり早い段階から認識していました。
我々のミッションは「男性美容を文化に」であり、男性美容という文化を創ることです。
男性の深い悩みとは何か? ヒゲだけでなく、頭髪の薄毛(AGA)に悩む人もいれば、年齢を重ねてシミやシワが気になる人もいる。
ニオイが気になる人もいれば、痩せたい人もいる。男性の多種多様な悩みをトータルで解決できる場所にならなければならないと考え、戦略的にメニューの拡充を図ってきました。
さらに2024年2月には、ゴリラクリニック全院で新たに「ポテンツァ(ニキビ・ニキビ跡治療)」の提供を開始いたしました。
新たな機器やメニューを積極的に導入することで、総合的な男性美容クリニックとしての体制を整えていきます。

AGA治療の現状。副作用に配慮したFDA承認の「FoLixレーザー」
―脱毛以外の領域、特にAGA(薄毛)治療について、業績を伸ばされていると伺いました。当院ならではの強みやアプローチを教えてください。
稲見: AGA治療の基本は、やはり「フィナステリド」や「ミノキシジル」といった内服薬・外用薬の処方です。
医学的なエビデンスが確立(*7)されており、まずはここからスタートします。
しかし、基本の治療だけでは頭打ちになってしまう方が一定数いらっしゃるのも事実です。
ある程度の変化は見られたものの、そこでキープされてしまう。
我々はそうした方々に対して、決してさじを投げることはありません。
そこで当院では、成長因子製剤の注入に加え、「FoLix(フォリックス)レーザー」という別のアプローチのレーザー機器を導入しました。

―具体的に、FoLixレーザーとはどのような特徴があるのでしょうか。
稲見: FoLixレーザーは、アメリカのFDA(日本でいう厚生労働省にあたる機関)から発毛効果のサポートに期待ができるレーザー治療です。
原理としては、フラクショナルレーザーの技術を頭皮に応用したもので、頭皮に対して無数のごく微小な穴を開けることで人間が本来持っている「創傷治癒機能」を引き起こし、頭皮の血流を盛んにします。
さらに、レーザーの光が毛を作る大元である毛母細胞に当たることで細胞分裂が引き起こされ、頭皮へ直接アプローチして発毛を促進する効果が期待できます。
特徴的なのは、FoLixレーザーは内服薬を使用しない治療であるという点です。
従来のAGA治療薬においては、どうしても性機能障害や体毛の増加といった副作用を懸念される患者さんがいらっしゃいました。
しかし、このレーザー単独の治療であれば、そうした薬に伴う副作用を軽減しながら、発毛へのアプローチを狙うことが期待できます。
「薬の副作用が気になって踏み出せない」という患者さんに対して、こうした別の選択肢を提示できるのは、我々の強みだと考えています。
*7:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

新たなビジョン「この国を、自信あふれる男性があふれる国へ」。全スタッフで共有する視座
―「男性美容を文化に」と掲げてこられましたが、ビジョンをアップデートされたとお聞きしました。そこに込められた想いを教えてください。

稲見:はい。ゴリラクリニック10周年を期に、「この国を、自信あふれる男性があふれる国へ」という言葉にアップデートしました。
2010年代半ば以降、男性美容は文化として社会に認知されるようになってきました。
では、我々が目指すべきものは何なのか。
それは「脱毛してヒゲがなくなりました、おしまい」という物理的な変化だけを提供することではありません。
我々が見据えなければならないのは、「その方の人生が、治療の先にどう変わっていくのか」という未来です。
ヒゲが濃くてずっと悩んでいて、毎日剃るたびに肌が荒れて血が出て、他人の目が気になって自信が持てない。
そんな男性が、当院で脱毛をしてコンプレックスの解消を目指す。
すると、朝の時間が確保でき、肌の状態も整い、自信が生まれるきっかけになります。
人間というのは面白いもので、1つのハードルを越えて悩みが解消に向かうと、「よし、次は気になっていた髪の毛の相談もしてみよう」「シミの治療も受けてみよう」と、ポジティブになっていく傾向があります。
そうやって外見の悩みと向き合い、自信を持つきっかけを得た男性たちは、仕事場やプライベートなど、あらゆる社会の場面で明るく活躍できるようになるはずです。
「自信に溢れる男性が増えていけば、この日本という国自体がもっと元気で良い国になるのではないか」。
我々はこの視座を持って日々の診療にあたっています。ただ単に価格競争をするような次元にとどまっていては、患者さんのお手伝いをすることはできないと考えているからです。
―全国に23院(*8)、ドクターだけでも約40名以上(*8)の規模となると、その理念を浸透させるのは容易ではないと思います。どのような工夫をされていますか。

稲見:組織が大きくなればなるほど、理念の共有は重要課題となります。当院では年に1〜2回、ドクターやカウンセラー、看護師(診療部)、そして本部の責任者レベルが一堂に会する総会を定期的に開催しています。
そこで、我々がどこへ向かうのか、患者さんにどのような価値を提供するのかといった方針や哲学を深く共有し合い、彼らが各院へ持ち帰って現場スタッフへと浸透させていくという体制をとっています。この直接的な対話の場こそが、組織を作るための基盤となっています。
*8:2026年4月21日インタビュー時点。各院とドクターはゴリラクリニック公式サイトでご確認いただけます。
男性特有の「言い出しにくさ」に寄り添う。個室での30分が生み出すナラティブ(対話)
―男性ならではの心理的ハードルや、潜在的な要望にはどのように寄り添っているのでしょうか。具体的なアプローチをお聞かせください。
稲見: 男性美容が一般化したとはいえ、やはり自分の外見に関する深い悩み、特にAGA(薄毛)やニオイといったデリケートなコンプレックスを初対面の他人に打ち明けるのは、男性にとって勇気のいることです。女性スタッフにはどうしても言い出しにくい、格好悪い姿を見せたくないという心理が働くことがあります。
そこで当院では、男性の看護師や男性のカウンセラーが重要な役割を果たしています。同性だからこそ、患者さんも警戒心を解いて本音をこぼしてくれる瞬間があるのです。
我々の強みは、脱毛という施術の環境そのものにもあります。脱毛の施術は、個室で最低でも15分、長ければ1時間半ほど、スタッフと患者さんが二人きりで過ごします。その間、痛みに配慮するためにも、世間話や様々な会話を交わしながら施術を進めていきます。
そうした会話の中で、「実は髪のボリュームが気になり始めて…」「肌のシミってどうにかなるんですかね?」といった、本当に気になっている潜在的な悩みが顔を出すのです。
ここからが我々の医療従事者としての役割です。
患者さんから言われたことに対して「じゃあこのメニューがありますよ」と勧めるだけでは不十分です。
会話の端々から「この方はこういうことに悩んでいるんだな」という背景を汲み取り、決して押し付けがましくならないよう、医学的根拠に基づいて適切な選択肢を提案する。
これが少しでも売り込みのように聞こえてしまえば、不信感に繋がり、築き上げた信頼関係は崩れてしまいます。
非常に難易度の高いコミュニケーションスキルが求められますが、この「対話(ナラティブ)」を通じて患者さんの潜在的なニーズを引き出し、適切な提案ができる者こそが、我々が理想とする医療スタッフです。この対話力こそが、ゴリラクリニックの財産と言えます。
ヒゲ脱毛はなぜ難しいのか。豊富な症例数が導き出した「ヤグレーザー」と見極め

―男性特有の肌質や毛質に合わせた機器選定や治療プランについて、当院ならではの考え方はありますか。
稲見: 一口に脱毛と言っても、男性の肌と女性の肌、そして毛質は異なります。特に男性のヒゲは、体中の毛の中でも施術が難しい部位です。
「他院で何回も施術したけれど変化を感じられなかった」「思い通りにならなくてゴリラクリニックに相談に来た」という患者さんからのご相談を受けます。
ヒゲの生え方は、腕や足の毛が皮膚に対して浅い角度で斜めに生えているのに対し、非常に深いところから、皮膚に対してほぼ垂直に、しかも太く密集して生えています。そのため、出力の調整などが難しく、適切な機器選びと設定が重要になります。
我々が開院以降、男性を診察し続けて痛感してきたのは、この「ヒゲの難しさ」です。
開院当初は我々も様々な試行錯誤を重ねました。
そうした経験の蓄積があるからこそ、「この肌の色で、この毛質なら、このレーザーでこれくらいの出力が適切だ」という判断ができるのです。
―具体的に、どのようなレーザー機器を選択されているのでしょうか。

稲見:ヒゲの脱毛に関して、我々が信頼を置いているのが「ヤグレーザー(YAGレーザー)」です。
波長が長く、皮膚の奥深くにある毛根までエネルギーを届けることができるため、垂直に深く生えているヒゲに対して適しています。
もちろん、照射時には痛みを伴うことがあるため、我々は麻酔の活用や声掛けなど、痛みに配慮しながら照射を行っています。
また、肌の色調によっては施術の難易度が高まるケースもあります。
当院のスタッフは、膨大な症例データを共有しているため、「この色調であれば、この設定で照射を行う」という判断を行えるよう努めています。

決して「たかが美容」ではない。患者の人生に寄り添うエピソード
―これまで数万人の患者さんを診てこられた中で、特に印象に残っているエピソードを教えていただけますか。
稲見: 私の心に刻まれている出来事がいくつかあります。(*プライバシーに配慮し、特定を避ける形で紹介します)
1つ目は、新型コロナウイルスの最初の緊急事態宣言が発令された時のことです。世間は「外出は控えるように」と連日報道され、誰もが家に引きこもっていた時期でした。そんな中、「普段は忙しくて来られないけれど、時間ができたから」とご予約を取り、来院してくださった患者さんがいらっしゃいました。
その方は、施術時の何気ない会話の中で「人とコミュニケーションをとる機会が減って孤独を感じていたが、ここに来てスタッフと話せて心が少し軽くなった」という趣旨のお話をしてくださいました。
世間から見れば、美容クリニックへの通院は不要不急のものかもしれません。しかし、あの時、私たちが提供する空間と対話を求めてくれている人が確かにいた。我々の仕事は単なる医療行為を超えた、人と人との繋がりを提供する意味を持っているのだと、強く再認識した瞬間でした。
2つ目は、長らく当院に通ってくださり、信頼関係を築いていた患者さんのエピソードです。ある日「実は、髪の毛の相談もしたいんです」と切り出してこられました。カウンセリングルームに入り、その方が打ち明けてくださったのは、ご自身がカツラ(ウィッグ)を使用しているという事実でした。
薄毛を隠すためのカツラを他人の前で外して相談するということは、男性にとって非常に勇気のいる行為です。絶対に他人には見せたくないはずのその姿を、我々に見せてくれた。「このクリニックなら」と思ってくださった。その事実に胸が熱くなりました。我々はその思いに応えるべく、真摯に治療プランをご提案させていただきました。
3つ目は、体毛の濃さに加え、重度の「毛嚢炎(もうのうえん)」という皮膚の炎症に悩まれていた患者さんのお話です。
彼は涙ながらに「毛が濃くて肌の状態が良くないせいで、職場の同僚と一緒にお風呂やサウナに行くこともできず、本当に辛い」と訴えられました。美容の悩みは、時に「たかが毛が濃いくらいで」と周囲から軽く見られがちです。しかし、本人にとっては社会生活や対人関係を脅かすほどの深い悩みとなり得ます。
我々はその苦痛に寄り添い、まずは炎症のケアから慎重に段階を踏んで対応を進めました。「当たり前に生きることすら苦痛に感じている人」がいて、我々の医療がその一助になれる。この仕事の価値と責任の重さを教えていただいた出来事です。
大手美容外科での経験と、現代男性の悩みに寄り添う医療的アプローチ
―先生ご自身が美容医療の世界で歩まれてきた経緯と、大切にされている哲学について教えてください。

稲見: 私は大学を卒業後、東邦大学の形成外科学教室に入局し、そこから美容医療の道へと進みました。大手である大塚美容形成外科での勤務時代には、京都分院長も務めさせていただき、外科的な手術のスキルをはじめ、多くのことを学ばせていただきました。
二重の手術などは、短時間の施術でその方の印象が大きく変わり、人生の質を高めるきっかけになります。美容医療の持つそうした可能性に魅了されました。
しかし同時に、ビジネスとしての厳しさや課題に直面する時期もありました。当時、実直に技術を提供していたにもかかわらず、広告やマーケティング戦略の面で後発のクリニックに押され、患者さんが減少してしまう時期を経験したのです。
その時、私は痛感しました。
「どれだけ確かな医療技術を持っていて、正しいことをやっていても、それを知ってもらい、選ばれなければ、患者さんのお手伝いをすることはできない」と。
医療機関として機能し続けなければ、結果的に多くの患者さんが困ってしまいます。だからこそ、技術を磨くことと同等に、それを適切に伝え、クリニックとしてのインフラを盤石にすることが重要という哲学が、私の根底に刻まれました。
また、恩師から学んだ考え方に「患者さんの負担に配慮し、適切な結果を目指す」というものがあります。あれもこれもと過剰な提案をするのではなく、的確な診断のもとで、少しの介入で患者さんのお悩みをサポートすること。
これが私の医師としての変わらぬモットーとなっています。
―脱毛やAGAだけでなく、医療ダイエットなどの需要も高まっていると伺いました。
稲見: おっしゃる通りです。ご自身でダイエットやボディメイクを続けることが年々難しくなっているとお答えする患者さんの声は少なくありません。
一昔前までは、体型の悩みは「食べ過ぎや運動不足が原因だ」と自己責任として片づけられがちでした。しかし、現代の男性を取り巻く状況は、それだけでは説明できません。社会の変化によってご自身の可処分時間や所得が減り、さらに加齢に伴う基礎代謝や活力の低下が重なり、気づけば腹まわりや体型の悩みが、自力では解決しにくいものになっているケースもあるのです。
私たちゴリラクリニックは、そうした現代の男性特有の背景を深く理解したうえで、「見た目の悩みを解決し、自信を取り戻すこと」を使命に掲げています。単に治療メニューを揃えるだけでなく、施術方法そのものを男性の身体に合わせて適切な形に調整し、日々効果検証を重ねてきました。
「楽をすること=悪」という考え方を否定するつもりはありません。ただ、現代は効率的な選択が肯定される時代です。だからこそ、ダイエットやボディメイクにおいても、医療という科学的かつリスクに配慮した手段を、ぜひ選択肢の一つとして考えてみていただきたいと願っています。
受け入れ年齢の引き下げと、外科治療への展開。男性美容のインフラを目指して
―患者さんの年齢層にも変化があり、当院でも受け入れ年齢の枠を広げられたそうですね。
稲見: はい。実は、以前は医療脱毛は「15歳から」の受け入れだったのですが、現在は「8歳以上」に引き下げを行いました。
これについては、「そんな小さな子供に脱毛を受けさせるなんて」といったご懸念の声があることも十分に承知しています。しかし、現場での声は切実です。
小学生くらいのお子様は、周囲からの言葉に傷つく年代です。
毛深いことが原因で、体育の着替えやプールを嫌がるお子様は実際にいらっしゃいます。
悩みに年齢は関係ありません。
もちろん、我々も無条件に施術を行うわけではありません。必ず保護者の方にご同伴いただき、お子様特有のリスク(成長に伴う毛の再発など)を時間をかけてご説明します。
そして何より重要なのが、「保護者の方がやらせたいのではなく、ご本人が本当にやりたいのか」という意思を確認することです。
もし診察の結果、毛の質や肌の状態から「レーザー脱毛には向いていない」「リスクの方が大きい」と判断した場合は、「今はまだやらない方がいい。他の方法を考えよう」とはっきりと申し伝えます。患者さんの未来を考え、正しい医学的判断を提示することが我々の責任だからです。
―その他の医療展開として、取り組んでいることはありますか。
稲見: 我々として注力しているのが「外科的な治療(美容外科)」への展開です。
現在、多くの美容クリニックは皮膚科的なアプローチ(レーザーや注射など)が中心ですが、我々には形成外科や美容外科の知見を持つドクターが在籍しています。
男性でも、「目の下のクマ」が原因でいつも疲れて見られたりして悩んでいる方は大勢いらっしゃいます。そうした方々へのクマ取りの手術や、二重まぶたの手術など、より構造的な変化をもたらす外科治療を、各院で少しずつ展開し始めているところです。
美容外科の領域は、高い技術が求められるシビアな世界ですが、ここを開拓していくことこそが、男性美容の選択肢を広げるために不可欠だと考えています。
スケートボーダー堀米雄斗選手の起用と、予約環境への真摯な取り組み

―クリニックの認知を広げるために、プロモーション活動もされていますね。
稲見:ええ。我々は医療技術を磨く一方で、それをいかに多くの方に知っていただくかという認知・広報活動にも力を入れています。
2025年10月よりプロスケーターの堀米雄斗選手を当院のアンバサダーに起用いたしました。世界を舞台に挑戦し続ける堀米選手の姿勢は、「自信に溢れる男性を増やす」という我々の理念と深く共鳴するものです。
2025年10月と12月にテレビCMを放映しましたが、また新たに放映を予定しております。
開院当初は「テレビCMやマス広告を打とう」という意見もありましたが、当時はまだ院数も少なく、広告を見て患者さんが来られても受け入れる体制が十分にありませんでした。
開院から10年ほどで全国23院という体制が整い、満を持して大規模なプロモーションを展開できるようになったことは、我々の成長の証でもあります。
―一方で、患者さんからは「予約に関するご意見」も聞かれます。この課題にはどう向き合っていかれますか。
稲見: ご予約に関して患者さんにご不便をおかけしているケースがあり、我々としても解決すべき課題として重く受け止めています。
現在、予約枠の確保に向けて鋭意対応を進めており、名古屋栄院も2025年11月13日に増床移転したことで、患者さんからも「予約が取りやすくなった」とのお声をいただいています。
さらに、患者さんの利便性を高めるため、LINEでの予約システムの導入も進めています。以前は電話やアプリでの予約が中心でしたが、全院でLINEでの予約を可能にしました。また、ご遠方の方や忙しい方のために、初診や一部の相談をオンライン診療で完結できるシステムも併用しています。
我々は多くの患者さんの信頼にお応えし続ける責任があります。その社会的責任の重さを胸に刻み、常に受け入れ態勢を拡充し、機能し続けるインフラでありたいと考えています。
稲見総院長の言葉の端々から伝わってきたのは、男性のコンプレックスに向き合うことが、その人の生活を立て直すサポートに繋がるという信念だった。
ヒゲの脱毛に向き合い、患者さんをサポートするための豊富な症例数と、適切な判断力が求められる。そして、個室での対話から患者さんの悩みを引き出し、時に専門家として先導し、時にそっと背中を押す。その姿勢は、美容医療の現場で多くの男性の生きづらさと向き合ってきた稲見総院長だからこそたどり着いた、医療の形なのだろう。
「この国を、自信あふれる男性があふれる国へ」。
情報があふれる現代において、ゴリラクリニックはデータに基づいたエビデンスを重んじつつも、それと同じくらい患者の心に寄り添うナラティブ(対話)を大切にしている。
美容クリニックの枠を超え、悩める男性たちが社会へ大きく踏み出すための場所として。ゴリラクリニックの存在は、多くの方にとっての頼れるパートナーとなるはずだ。
ゴリラクリニックについて

| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| クリニック名 | 医療法人社団十二会 ゴリラクリニック |
| 総院長 | 稲見 文彦(いなみ ふみひこ) |
| クリニック紹介 | 2014年開院。「この国を、自信あふれる男性があふれる国へ」というビジョンを掲げ、男性特有の悩みに特化した美容医療を提供。月間約8万人が来院し、医療脱毛(全体の半数以上を占める)をはじめ、FDA承認のFoLixレーザーを用いたAGA治療、ポテンツァなどのスキンケア、医療ダイエット、美容外科手術まで、男性をトータルサポートしている。エビデンス(医学的根拠)とナラティブ(対話)を重視した診療方針が特徴。(来院数等のデータは2024年時点、ゴリラクリニック調べ) |
| 院数 | 全国23院(2026年4月21日インタビュー時点、ゴリラクリニック調べ) |
| 所在地(新宿本院) | 東京都新宿区新宿3-1-16 新宿追分第二ビル9・10F(受付10F) |
| 電話番号(新宿本院) |
はじめてご来院の方:0120-987-118 診察券をお持ちの方:0120-264-205 |
| 診療時間(新宿本院) | 午前11時〜午後8時 |
| Webサイト | https://gorilla.clinic/ |
| ご予約 | 完全予約制(LINE予約対応・オンライン診療併用) |