AI時代にこそ、血の通った医療を。れいめいクリニック浅草橋が描く医療の夜明け
JR総武線と都営浅草線が交差する浅草橋。
駅西口から徒歩10秒という絶好の立地に、地域から厚い信頼を集めるクリニックがある。
「れいめいクリニック浅草橋」。
約50名の訪問診療と、1日60〜80名の外来という二軸の体制で地域医療を最前線で支えている。
一般内科にとどまらず、皮膚科、泌尿器科、さらに院長の消化器外科医という経歴を活かした外科的処置まで幅広く対応。
「一人の人間をトータルで診る」姿勢が最大の強みだ。
外科出身の夫婦二人三脚で診療にあたり、患者の迷いや不安に深く寄り添う同院の頴川博芸院長。
彼が歩んできたキャリア、AI時代に輝きを増す血の通った医療の価値、そして2026年4月から新しくなったクリニックの名称に込めた決意について話を伺った。
現在は外来と訪問診療の両輪を回し、専門科目の枠にとらわれない、患者一人ひとりの目線に合わせて寄り添う、総合的な地域医療を浅草橋の地で実践し続けている。
専門の枠を超え、トータルで診る。外来と訪問診療の両輪で支える医療
―貴院の特長や、日々の診療においてどのような体制をとられているのかについて教えていただけますでしょうか。
頴川:当院の大きな特長であり、私自身も力を注いでいるのは、クリニック内で行う「外来診療」と、患者様のご自宅や生活施設へ直接伺う「訪問診療」、この二つの軸をどちらかに偏ることなく、両輪としてしっかりと回し続けているという点です。

医療業界の現状を見渡してみますと、この浅草橋周辺地域も含めて、都心部では外来診療のみに特化して効率よく患者様を診るクリニックや、逆に最近増えてきている訪問診療のみを専門に行うクリニックなど、機能が二極化・分業化している傾向が強く見られます。
もちろん、それぞれに専門性を高めるというメリットはあるのですが、私は地域の患者様の一生に寄り添う「かかりつけ医」を目指す上で、両方の機能を兼ね備えることが必要だと考えています。
当院の外来には、近隣にお住まいの方や周辺企業にお勤めの方を中心に、1日およそ60名から80名ほどの患者様が足を運んでくださっています。
風邪や腹痛といった急性の症状から、高血圧や糖尿病などの慢性疾患の管理まで様々です。
一方で、ご高齢になられたり、重いご病気を患ったりして、自力で当院まで足を運ぶことが困難になってしまった方々のために行っている訪問診療では、現在約50名の患者様を担当させていただき、定期的にご自宅等へ伺っています。
この二軸体制の最大のメリットは、患者様の人生のフェーズの変化にシームレスに対応できることです。
たとえば、長年ご自分の足で外来に通ってくださっていた患者様が、ご年齢を重ねて足腰が弱くなり、ある日「先生、もうクリニックまで歩いて行くのがしんどくなってしまったよ」とおっしゃったとします。
当院であれば、「大丈夫ですよ。来月からは私がご自宅に伺って、今まで通り診察を続けますからね」とご提案できるのです。
患者様にとって、長年自分の体質や性格、病歴をすべて把握してくれている主治医が、通えなくなった後も自宅まで来てくれるというのは、住み慣れた環境で無理なく治療を継続するための大きな支えになります。
ご家族にとっても、一から新しい先生との関係性を築く負担がなくなります。
カルテも病歴も、これまでの会話の記憶もすべて共有したまま、ご自宅での生活も含めて継続して包括的にサポートできる。
これこそが、当院が両輪の体制にこだわる理由であり、地域の皆様に提供できる価値であると自負しています。
―診療科目の幅広さも、患者様にとっては非常に心強い点であると伺っています。具体的にはどのような症状や疾患に対応されているのでしょうか。
頴川:ベースとなるのは一般内科で、日々の風邪症状や生活習慣病のコントロールなどが中心となります。
加えて、皮膚のトラブル全般を診る皮膚科、膀胱炎や頻尿などの悩みに対応する泌尿器科の症状にも対応しています。
そして、当院の診療の幅をさらに大きく広げているのが、私自身がもともと大学病院等で消化器外科を専門としてメスを握っていたというバックグラウンドです。
そのため、外科的な処置が必要となった場合でも当院の処置室内で対応することが可能です。
患者様目線に立って想像してみていただきたいのですが、人間の体というのは都合よく内科の病気だけにかかるわけではありません。
「急に高い熱が出て倦怠感を感じるけれど、同時に湿疹も体中に出ている」「激しいお腹の痛みがある上に、怪我をしてしまった」というように、症状が複数の専門科にまたがって同時に発現することはごく日常的な出来事です。
そうした複合的な症状で苦しんでいる患者様にとって、それぞれの症状に合わせて複数の医療機関を別々に受診することは、ただでさえ体調が悪くて辛い状態において、あまりにも負担が大きいと考えています。
ですから、当院では入り口のハードルを可能な限り低く、広く取ることを信条としています。
「自分のこの症状は一体何科に行けばいいのか分からない」「複数の症状があって困っている」という時に、「何か体調に不安やトラブルがあったら、まずはあそこのクリニックに行けば、院長がなんとか道筋をつけてくれるだろう」と地域の皆様に頼っていただけるような、文字通りの最初の窓口でありたいと強く願っています。
診察と初期対応を行った結果、より高度な専門的検査や入院治療、あるいは大がかりな手術が必要だと判断した場合には、私のこれまでのネットワークも活かし、適切な大学病院や高次医療機関へ速やかにご紹介し、バトンを繋ぐ旗振り役としての機能も、かかりつけ医の極めて重要な役割として重要視し、徹底しています。

―奥様の峯陽子医師も診療にあたられていますが、ご夫婦という極めて近い関係性で診療体制を構築することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
頴川:妻も私と全く同じく、もともとは外科で研鑽を積んできた医師であり、現在は夫婦二人三脚でこのクリニックの診療にあたっています。
この夫婦での医師体制がもたらすメリットは、患者様の微細な情報や診療方針について、密に、かつ多角的に情報を共有し合い、よりきめ細やかなサポート体制を構築できる点に尽きます。
私が外来で診察した患者様で、診断に迷うような少し気になる症状があったり、治療方針の選択肢で悩んだりした場合、当院では、お昼の休憩時間や診療が終わった後のスタッフルームで妻とカルテを見ながらすぐに意見を交換し合うことができます。
医師といえども一人の視点だけではどうしても思考の偏りや見落としのリスクがゼロではありません。
そこに、信頼できる別の医師の客観的な視点や経験則が即座に入ることで、より適切な治療方針を検討できると考えています。

また、患者様の心理的な側面に目を向けても大きな利点があります。
患者様の中には、「男性の先生には少し話しづらいので、女性の医師のほうがリラックスして相談できる」という方(特に婦人科の悩みや皮膚のデリケートなトラブルなど)もいらっしゃいますし、逆に「同性である男性の医師に診てほしい」という方もいらっしゃいます。
夫婦で診療していることで、当院には常に「男性医師と女性医師、どちらの選択肢も用意されている」状態を作ることができます。
患者様がご自身の希望に合わせて、より話しやすい相手を選べる環境があることは、患者様が心を開き、隠れた症状や本音を打ち明けていただける環境づくりに大きく貢献していると日々実感しています。
―日曜日も診療の枠を開けていることや、オンライン診療を積極的に取り入れているのも、患者様の利便性やライフスタイルを考えてのことなのでしょうか。
頴川:医療機関側の都合に患者様を合わせさせるのではなく、患者様の生活の形に我々医療機関が合わせていくべきだという考えに基づいています。
この浅草橋という地域は、昔からこの地で商売を営み、暮らしている古くからの住民の方々と、平日は都心のオフィスでバリバリと働く若いビジネスパーソンが入り混じる、非常に多様性に富んだエリアです。
特に後者のビジネスパーソンの方々は、平日は朝早くから夜遅くまで仕事に追われており、体調に不安を感じても、なかなか平日の日中に病院の待合室で時間を潰すことができないという方が大勢いらっしゃいます。
そうして無理を重ねた結果、せっかくの休日に疲れが出て体調を崩してしまった。
いざ病院に行こうと思っても、日曜日が休診で受診できないという声も耳にします。
これは、地域住民にとって非常に不安でストレスの溜まる状況です。
そこで当院では、地域の皆様のリアルなライフスタイルに合わせた医療の形を提供したいと考え、日曜日も診療を開ける決断をしました。
そうすることで、地域に暮らす方々にとって、いざという時の心の拠り所の一つになれたら、と思っています。
また、オンライン診療にも柔軟に対応しています。
たとえば、高血圧などで毎月同じお薬を飲んでいて状態が極めて安定している方や、「少し気になる症状があるけれど、わざわざ仕事を休んで来院するほどの時間がどうしても取れない」という方にとって、スマートフォン一つで医師と顔を合わせて診察を受け、薬局でお薬を受け取れるオンライン診療は、非常に強力で柔軟な受け皿になっています。
もちろん、直接触れて診察しなければならない症状もありますので、何でもオンラインで済むわけではありません。
しかし、従来の対面診療という強固なベースに、このオンライン診療という新しい選択肢をうまく組み合わせることで、患者様の仕事や生活を圧迫することなく、無理なくご自身のペースで治療を継続していただけるよう、工夫を凝らしています。
自分で診る。生活環境の隅々にまで目を向ける、訪問診療のリアル
―高齢化が進む中で訪問診療のニーズは高まる一方ですが、その最前線に立つ上で、先生が日々の訪問において特に大切にされている信念やこだわりは何でしょうか。
頴川:訪問診療という、患者様のプライベートな領域に踏み込む医療において私が最も大切にしているのは、患者様に発生したさまざまな医療的トラブルを極力、自院の責任において完結させるという、覚悟と姿勢です。

一般的にイメージされる、内科クリニックによる訪問診療においては、定期的に血圧や心音を測り、血液検査の数値を見て、いつも通りのお薬を処方するといった、いわゆる内科的な慢性疾患の管理がメインの業務となります。
しかし、実際に現場を回ってみると、ご高齢の患者様が抱えるトラブルは決して内科的なものだけには収まりません。
ご高齢の患者様は、内科的な疾患だけでなく、日常的な動作の中での怪我や皮膚のトラブルなど、むしろ外科的、あるいは皮膚科的な処置が必要になる場面が頻繁に発生します。
そうした予期せぬ事態に直面した際、新たに別の医療機関を受診していただくとなると、ご家族や、日々のケアで疲弊している介護施設のスタッフの方々が、自力で動けない患者様を苦労して車椅子や介護タクシーに乗せ、時間をかけて別の病院の待合室で何時間も待機させ、処置が終わったらまた連れて帰るという、とてつもない時間的・肉体的労力と、それに伴う多額の費用の負担を強いることになってしまうのです。
ただでさえ介護で大変なご家族を、さらに追い詰めることになりかねません。
私は幸いにも、長年外科医として現場で経験を積んできました。
ですから、ちょっとした外科的な処置が必要になった際でも、わざわざ病院に通っていただくことなく、ご自宅のベッドの上で対応することができます。
もちろん、骨折が疑われる場合や、どうしても高度な専門設備の介入が必要な深刻なケースについては適切な医療機関へご紹介しますが、可能な限り私自身の経験を活かしてその場で対応し、患者様やご家族の負担を減らしたいと考えています。
「内科だから」「外科だから」と縦割りで考えるのではなく、目の前にいる患者様の苦痛を取り除くために診る、という総合的な医療を心がけています。
この姿勢こそが、患者様ご本人はもちろん、その方を支えるご家族や介護スタッフの負担を根本から減らし、生活の質を守ることに直結していると考えています。

―外来の診察室では決して分からない、実際に患者様のご自宅や生活施設という「現場」に足を運ぶからこそ得られる気づきなどはありますか。
頴川:外来と訪問診療では、我々医師が得られる情報の質と量が根本的に異なります。
外来の診察室に入ってこられる患者様というのは、ある意味でよそ行きの顔を作っていらっしゃいます。
しかし、患者様の生活の本拠地であるご自宅に伺うことで、そこには生活のリアルが広がっています。
例えば、診察のためにリビングに行く間、横に台所があったら「整理整頓されているかな」「どんなものを食べているのだろう」といったことが自然と目に入ってきます。
「お酒を控えてね」とお伝えしていた患者様のお宅で、空き缶が全然減っていないことに気づくこともあります。
生活の様子が直接わかるというのは、クリニックに来てもらう時との大きな違いです。
そうして生活環境から得られた情報を拾い上げることで、ただその病気を診るだけでなく、患者様を一人の人間としてトータルで診ることができるようになります。
「この人にはもしかしたら、まだ気付いていないけれどこういう病気も隠れているのではないか」といった気づきにも繋がりますから、訪問診療に行っているからには、そうした情報をしっかりと診察に生かしていきたいと思っています。

―患者様のご自宅というプライベートな空間でコミュニケーションを取る際、先生が特に意識されている工夫などはありますか。
頴川:ご自宅に伺う際に私が最も強く意識しているのは、白衣を着た「治療をする医者」と「治療を受ける患者」という、病院内では当たり前にある関係や敷居を、意図的に可能な限り低く設定し、「一人の人間と人間」として、限りなくフラットな目線で向き合うことです。
想像してみてください。
自分の最もプライベートな空間である自宅の寝室に、見ず知らずの白衣を着た人間が突然やってきて、事務的に血圧と体温だけを測り、「はい、変わりないですね。また来週来ます」と言って嵐のように帰っていく。
これでは、患者様も過度に緊張して萎縮してしまい、本当に困っていることや、ちょっとした体の異変といった本音を話してはくれません。
ですから、私は初めてのお宅に伺った際、すぐに聴診器を当てるようなことはしません。
まずはゆっくりと部屋全体を見回して、患者様が大切にしているサインを探します。
壁に飾られているご家族の写真や、棚に置かれた趣味のコレクション、ご自身で描かれた絵画や作られた手芸品などです。
それらを見つけたら、「このお写真、お孫さんですか。おいくつになられたんですか、可愛いですね」とか、「この見事な編み物、ご自身で時間をかけて作られたんですか。色使いが本当に素晴らしいですね」といった具合に、あえて医療とは全く関係のない、その方の人生や趣味に関わる世間話から入るようにしています。
人は、自分の大切にしているものや生きてきた軌跡に興味を持ってもらえると、自然と顔がほころび、心を開いてくれるものです。
そうやって世間話を通じてコミュニケーションの糸口を見つけ、相手の緊張感を少しずつほどいていく。
そのプロセスを経ることで、次第に患者様の方から「先生、実は最近、夜になるとこの辺りが痛んで眠れないことがあってね」「実はお通じのことでずっと悩んでいたんだけど……」と、本当に打ち明けたかった不安や隠れた症状を話してくださるようになります。
患者様の生活の場に足を運び、その方の人生の延長線上で医療を提供するからこそ、こうした一見遠回りに見えるようなコミュニケーションの積み重ねが、最終的に適切な診断と治療に結びつく最も重要なプロセスになると、私は考えています。

外の世界の風に吹かれて。カンボジアの小さな診療所で再認識した「医師の存在意義」
―先生ご自身のルーツや、医師という職業を志したきっかけについてお聞かせください。
頴川:私は祖父や叔父が医師として働き、父が歯科医師として地域に根ざしているという、医師の家系に生まれ育ちました。
物心ついた時から、白衣を着て真剣な眼差しで患者様と向き合う祖父の背中を見て育ちましたし、お盆やお正月などで親族が集まれば、自然と話題は医療現場の話や患者様の症例の話になるような、ある意味で特殊な環境でした。
ですから、「大人になったら将来は自分も立派な医者になって、病気で苦しむ人の命を救うんだ」という目標は、誰に強制されるでもなく、幼い頃からごく自然な形で自分の中に芽生えていたように思います。
周囲の期待もあり、また私自身も懸命に勉強し、念願だった医学部への進学を果たすことができました。
しかし、いざ医学部という狭く特殊な社会に入り、膨大な医学知識を詰め込む日々を送る中で、私の中で少しずつ、違和感と自分を見失う感覚が膨らんでいった時期がありました。
周囲の同級生たちが国家試験に向けて勉強を進める中、私自身は「本当にこのまま医師になっていいのだろうか」と迷ってしまったのです。
そこで、一度立ち止まり、医学部という閉鎖的な空間から離れて自分自身を見つめ直すための期間を設けるという、当時の私にとっては非常に大きな決断を下しました。
その後、日本を飛び出して東南アジアの国々を巡る旅に出ました。
インフラも十分に整っていない地域を歩き、現地の人々の生活を間近で見ることで、自分の価値観を見つめ直し、視野を広げたかったのだと思います。
カンボジアの地方を旅していた時のことは、今でも昨日のことのように鮮明に思い出すことができます。
ある日、小さな診療所の前を通り過ぎました。
困っている人が「助けてもらえるのではないか」という感じで、クリニックの敷地の庭に座っているのです。
何か虚ろな目をして、じっと。
私はそうした人々の姿を見た時に、「ああ、自分が一度目指しかけたあの道は、決して悪いものではないな」と感じたのです。
「困っている人たちに、自分の力を使いたい」。
一度遠回りをして、そうした環境で助けを求めている人たちの姿をこの目で見たことは、私にとって自分が医師として生きる意義を再確認するための、人生において必要な時間だったのだと思っています。

恩師との出会い、そして開業医としての葛藤から見出した「患者第一」の医療
―再び確固たる決意を持って医学の道を志された後の歩みについてお聞かせください。
頴川:迷いを完全に断ち切り、無事に大学へ再入学を果たしてからは、ひたすらに医学の勉強にのめり込みました。
5年生になり、東海大学八王子病院の消化器外科を回ることになったのですが、そこで私のその後の医師人生を決定づける飛田先生という恩師に出会いました。
志望を聞かれて「消化器外科に興味があります」と答えると、「そうか、それなら私についてきなさい」と言ってくださるようなとても頼もしい方でした。
ある時、膵頭部がんの患者様に対して、10時間ほどかかる大きな手術を行うことになりました。
その手術前の患者様への説明の際、飛田先生は私に「この方はこういう病気だからこういう手術をする。今から君もチームの1人としてしっかり説明に参加するように」と言ってくださったのです。
当時の医学生というのは、現場ではただそばで見ているだけの、いわば「お客さん」のような存在です。
しかし、先生は私をいい意味で巻き込んでくださり、患者様にも「彼もチームの1人として頑張るのでよろしくお願いします」と紹介してくださいました。
そして10時間の手術が終わった後、真っ暗になった病院の受付の自動販売機の前で、「今日は本当によく頑張った」とコーヒーをご馳走してくださったのです。
その一連の出来事が私にはものすごく心に染みました。
「ああ、この人みたいな仕事がしたいな」と強く思いました。
そして、その思いに導かれるように外科の世界へと進むことになりました。

―大病院の勤務医から、実際に街のクリニックを承継されてみて、感じたことはありましたか。
頴川:最初は苦労の連続でした。
勤務医時代は、病院という組織に守られ、目の前の患者様の治療に専念していれば良かったのですが、開業医となるとそうはいきません。
スタッフの採用やマネジメント、毎月の経費の計算、医療機器のメンテナンスなど、経営者としてのあらゆる業務がのしかかってきます。
特に承継して間もない開業当初は、自分が理想とする丁寧な医療と、クリニックを存続させるために必要な経営的視点の狭間で、どうバランスを取ればいいのか分からず、葛藤を抱えていました。
しかし、悩んでいても状況は良くなりません。
私は原点に立ち返り、そもそも患者様は、何を求めて数ある病院の中からこのクリニックの扉を叩くのかという根源的な問いを考え抜きました。
すぐに行動を起こし、設備投資を行って、エコーなどの検査機器を導入し、当院内で適切な診断ができる体制を整えました。
そして何より変えたのは、患者様への説明の質です。
検査結果の数値だけを伝えるのではなく、図や模型を使って、患者様ご本人が納得できるまで、丁寧な言葉で説明することに注力し始めました。
すると、目に見えて患者様の反応が変わっていきました。
私が承継した当初は、1日に来院される外来患者数は30〜40名程度でしたが、地道に患者様と向き合い続けた結果、今ではその倍の60〜80名もの患者様が足を運んでくださるまでになりました。
目の前の一人ひとりの患者様に真摯に向き合い続けることこそが、結果的に地域からの信頼を獲得し、経営を安定させる道なのだと、この経験を通じて学びました。
「れいめい」という名に込めた決意。地域医療の概念を変革する未来への挑戦
―2026年4月にクリニックの名称変更をされ、さらに5月には拡張移転を控えるなど、大きな転換点を迎えられます。その決断に至った背景や今後の展望について教えてください。
頴川:ありがたいことに、私たちの医療方針に共感してくださる地域の患者様が日々増え続けており、現在のスペースでは待合室も診察室も手狭になってきたことが一番の理由です。

そこで当院は、2026年5月を目処に、現在入居しているビルの広い5階フロアへと拡張し、移転する計画を進めています。
面積が広がることで、診察室や処置室を複数増設し、よりスムーズな環境で医療を提供できるようにするとともに、今後ニーズが高まる自費診療のメニュー拡充などにも対応できる専用スペースを新たに設ける予定です。
そして、この拡張移転に先駆け、この春(2026年4月1日)、長年親しまれてきた「浅草橋西口クリニックMo」という名称を、「れいめいクリニック浅草橋」へと正式に改めました。
「黎明」という言葉には、夜明けや新しい事柄が始まろうとする時期といった前向きな意味があります。
この新しい名称には、二つの意味を込めています。
一つは、私たちクリニック自身がこれまでの枠組みを打ち破り、より広範な医療を提供する新たなステージへと進むという決意の表明です。
そしてもう一つは、病気や痛みといった暗闇の中で迷い、不安に思っている患者様にとって、当院の存在が希望の光を差し込む夜明けのような場所でありたいという、医療者としての願いを込めてこの名称を選びました。
これからの超高齢化社会の医療において、重要になってくるのは、病気になって症状が出てから病院に行くというアプローチではなく、いかにして病気を未然に防ぎ、あるいは初期の段階で発見し、健康な体づくりをサポートするかという予防医療の分野です。
拡張移転に伴い、当院では健康診断の設備を拡充し、ゆくゆくは内視鏡検査の体制をさらに強化していく予定です。
地域の皆様に定期的な検査を受けていただける環境を整え、病気の早期発見・早期治療のサイクルを作ることで、患者様の健康寿命を少しでも長く保つお手伝いを、地域に密着した形で推進していきたいと考えています。
―最後に、今、受診を迷っている読者にメッセージをお願いします。
頴川:症状から何科に行けばいいか分からないという方は結構いらっしゃると思います。
例えば女性特有の症状などで、婦人科に行った方がいいのか、皮膚科なのか分からないといったケースです。
そういった方には、まずは当院にご相談いただければと思います。
実際に診察させていただき、当院の中で治療が完結できればもちろんそれでいいですし、「これは婦人科ですね」と適切な専門科へご案内する旗振り役も我々にはできると考えています。
ですから、まずは些細なことでも構いませんので、ご相談いただきたいですね。
例えば風邪の症状で来られた方に「他に何かありますか」と伺うと、「ここは整形外科じゃないから、膝の痛みなどは相談できないですよね」と遠慮されることがあります。
そういった時でも、「お話を聞かせてください」とお答えしています。
患者様ご自身は整形外科の症状だと思っていても、診察してみたら実は肋間神経痛だったり、帯状疱疹だったり、といったこともあります。
何科に行けばいいか迷った時の最初の窓口として、気軽にお越しいただければと思います。

医師の家系に育ちながらも、医学部時代に一度立ち止まり、東南アジアへの旅を経験した頴川院長。
決して最初から迷いなく一直線に医師への道を歩んできたわけではない。
しかし、医療という枠組みの外へ出て、多様な人々の生活や、遠い異国で医療を必要とする人々の姿を直接見てきた経験は、医師としての存在意義を見つめ直す重要な時間となった。
この時の経験があるからこそ、患者の生活背景や痛みを理解し、同じ目線で寄り添うことができるのだろう。
あらゆる症状をデータ化し、AIが冷徹なまでに効率よく確率で病名を弾き出すことになるかもしれないこれからの時代。
我々は一体何を求めて、わざわざ時間と労力をかけてクリニックの重い扉を叩くのだろうか。
それはきっと、正しい成分の薬の処方箋だけではない。
病という見えない恐怖と戦う孤独の中で、自分の不安に深く共感し、「一緒に頑張りましょう」と力強く手を握ってくれる、生身の人間の温もりと心の拠り所を求めているからに他ならない。
下町情緒あふれる浅草橋の地から放たれる新生「黎明」の光は、病や老いという暗闇の中で迷い、立ちすくむ多くの患者の心を優しく照らし出し、健やかな未来へと導く確かな道標になるに違いない。
れいめいクリニック浅草橋について

| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| クリニック名 | れいめいクリニック浅草橋 |
| 院長 | 頴川 博芸(えがわ ひろき) |
| クリニック紹介 |
浅草橋駅西口改札目の前という通院に便利な立地に加え、外来と訪問診療の二軸で地域医療を支えている。 一般内科にとどまらず、皮膚科、泌尿器科、さらに院長の消化器外科医としての経歴を活かした外科的処置まで幅広く対応しているクリニック。 |
| 所在地 |
〒111-0053 東京都台東区浅草橋1-12-3 浅草橋KSビル1階 |
| アクセス | JR中央・総武線「浅草橋駅」西口改札出てすぐ(徒歩0分) |
| 電話番号 | 03-5809-3274 |
| 診療時間 |
【月・火・木・金・日】 10:00〜14:00 / 16:00〜19:00 【土】 13:00〜18:00 ※水曜、第3土曜の翌日曜、祝日は休診 ※急な体調不良による往診は24時間365日対応 |
| Webサイト | https://reimei-asakusabashi.emc.inc/ |
| ご予約 | Web予約、LINE予約、電話予約に対応 予約なしの受診可能 |