「健康余命」という新しい物差し。病気を治す場所から“人生を創造する”場所へ――サクラクリニック27年の挑戦
名古屋の閑静な住宅街に、月間延べ1300人もの患者が訪れるクリニックがある。「医療法人春陽会サクラクリニック」。
一見すると街の診療所だが、その実態は従来の医療機関の常識を覆す。
院内に100坪を超える巨大な運動施設を持ち、医療・介護・運動をワンストップで提供するその姿は、まさに地域の健康拠点だ。
「薬を出して終わりの『お薬屋さん』にはなりたくない」。
そう語る野田泰永院長が、20年以上の歳月をかけて築き上げた「健康余命」を創造するための挑戦。
その全貌に迫る。
27年の実績、月間1300人の患者、100坪のジム。数字が証明する「選ばれる理由」
―地域医療の現場でこれだけの規模と設備を持つクリニックは、全国的にも極めて珍しいと思います。まずはサクラクリニックの全体像と、それを裏付ける実績について数字を交えて教えていただけますか。
野田:初めて来られる方は、皆さんその規模に驚かれますね。
当院はこの地で開業してから27年が経ちますが、おかげさまで現在は、毎月延べ1300人ほどの患者様にご来院いただいています。
建物は3階建てで、この構造自体が私たちの医療方針を体現しています。
まず1階が外来診療を行うクリニック。

2階が介護保険適用の通所リハビリテーション(デイケア)「デイケアうらら」。
そして3階には、「健康増進クラブ ファイト!」という運動施設を設けています。
特筆すべきはこの3階の「ファイト!」で、広さがだいたい100坪ほどあります。
個人のクリニックの中に、これだけの広さのジムがあるというのは、おそらく全国でも数えるほどでしょう。


次にスタッフの体制ですが、ここには現在、国家資格を持つ「管理栄養士」が3名常駐しています。
その上、彼女たちの中には「健康運動指導士」という運動指導のプロの資格も併せ持っている者もいます。
つまり、月間1300人の患者様に対し、医師だけでなく、食と運動のダブルライセンスを持った専門職がチームで向き合う。
これだけのハード(設備)とソフト(人材)を揃えていることが、多くの患者様に選んでいただけている最大の理由だと自負しています。
―なぜ、クリニック経営において効率を重視せず、あえてこれほどの「運動」と「食事」の環境を整えられたのでしょうか。
野田:普通に考えれば、100坪もあれば病床を作ったり、診察室を増やして回転率を上げたりするのが経営のセオリーかもしれません。
しかし、私はあえてそこを「患者さんが体を動かすための場所」にしました。
なぜなら、私自身が心臓血管外科医として全身を診てきた経験から、「薬を出すだけの医療」には明確な限界があると感じていたからです。
診察だけでなく、この運動施設を利用するために通われている患者様が非常に多いという事実が、この場所の必要性を何より証明していると思います。
私自身も、心臓や血管の専門医でありながら、胃カメラなどの消化器検査も行いますし、スポーツドクターとしてのアドバイスも行います。
全身の健康状態をチェックし、その足で3階に行けば、プロの指導のもとで具体的な運動や食事改善ができる。
この「完結型の医療環境」こそが、私が27年かけて作り上げた答えなのです。

「お薬屋さん」にはなりたくない。医師として感じた限界
―「薬を出すだけの医療には限界がある」というお言葉がありましたが、そう感じるようになった具体的なきっかけは何だったのでしょうか。
野田:それは、長年診察を続けていく中で募っていった、ある種のもどかしさや虚無感でした。
生活習慣病の治療というのは、どうしてもパターン化しがちです。
血圧が高ければ下げるお薬を出し、血糖値が高ければそれを調整するお薬を処方する。
そして次の診察で数値が下がっていれば、「お薬が効いていますね、数値も安定しているのでこのまま続けましょう」と言って終わる。
もちろん、それは標準的な医療行為として正しいことですし、必要なことです。
しかし、何年もそれを繰り返しているうちに、ふと自分に問いかける瞬間がありました。
「私は一体何をしているんだろう?これではまるで『お薬屋さん』じゃないか」と。
お薬で数値は見かけ上良くなっても、その方の生活習慣、つまり病気の根本的な原因である食事の内容や運動不足が変わらなければ、本当の意味で健康になったとは言えません。
根本を見ずに、出てきた数字だけをお薬で抑え込む毎日に、医師として強烈な違和感を覚えるようになったのです。
―「根本が変わっていない」という課題に対し、具体的にどうアプローチされたのですか。
野田:もちろん私も、診察室で「運動しましょうね」「食事に気をつけて」とは伝えます。
しかし、それはどうしても「言いっぱなし」になってしまうのが現実なんです。
例えば、「1日1万歩歩きましょう」とアドバイスしたとします。
でも、次の診察に来られた患者さんはこうおっしゃいます。
「先生、今月は寒くて外に出られなかったよ」「夏は暑すぎて歩けないよ」と。
そう言われると、私も「まあ、そうですよね、この暑さじゃ危険ですよね」としか言えなくなってしまう。
これでは堂々巡りです。
そこで気づいたんです。
言葉で「がんばれ」と言うだけでは、人は変われない。
「暑くて歩けない」「一人では続かない」と言わなくて済むような、快適で、専門家がいて、仲間がいる場所を私たちが用意しなければ、本当の意味での健康づくりはできないのだと。
だから、院内に「ファイト!」を作りました。
診察室でアドバイスを受けて、その足で3階に上がって運動して帰る。
あるいは、診察がない日でもここに通って汗を流す。
そんな流れを作ることで、「言いっぱなしの医療」から卒業したかったのです。

「健康余命」という、新たな指針
―先生は「健康余命(けんこうよみょう)」という言葉を大切にされています。これは一般的な「健康寿命」とはどう違うのでしょうか。
野田:「平均寿命」や「健康寿命」という言葉はニュースなどでよく聞きますよね。
日本人が統計的に何歳まで生きられるかという数字です。
しかし私が大切にしたいのは、社会的な統計ではなく、もっと個人的な「元気で生きられる時間はあとどれくらいか」ということです。
それが「健康余命」です。
例えば、40歳の方なら、統計上はあと40年以上生きられる時間があります。
その残された40年をどう過ごすか。
病院のベッドの上で天井を見上げて過ごすのか、それとも自分の足で旅行に行き、美味しいものを食べて笑って過ごすのか。
その中身こそが大事ですよね。
私はよく、患者さんにこんな例え話をします。
ちょっとした投資の話だと思って聞いてください。
ここに二つのボタンがあります。
「A:1年後に500万円もらえるボタン」と、「B:80歳になったら5億円もらえるボタン」。
あなたはどちらを押しますか?
今の一般的な80歳のイメージ、つまり体が弱ってしまっている状態、あるいは認知症が進んでしまっているかもしれない状態を想像すると、「80歳で5億円あっても使い道がないし、来年の500万円の方が確実に楽しめる」と考える方が多いと思います。
それは現在の感覚としては正しいかもしれません。
しかし、もしあなたが適切なメンテナンスを続けて、80歳になっても今の40代、50代と同じように元気で、頭もはっきりしていて、やりたいことが山ほどある状態だったらどうでしょう。
間違いなく「80歳で5億円」の方に価値がある、と思えるはずです。
今の医療や、日々の食事・運動の積み重ねは、まさにその「未来の価値」を高めるための投資なんですよ。
80歳、90歳になった時に、「早くお迎えが来ないかしら」と嘆くのではなく、「今が人生で一番楽しいよ!」と笑って過ごせるようにする。
私がしつこく「痩せましょう」「運動しましょう」と言うのは、単に今の検査データを良くしたいからだけではありません。
20年後、30年後のあなたが受け取る、人生というご褒美を、最高のものにしたいからなんです。
未来の自分が「あの時頑張ってくれてありがとう」と言えるような生き方を、今から始めてほしいのです。
こうした「未来への投資」という考え方をより広く伝えるために、この2026年1月からYouTubeでの発信も始めました。
チャンネル名は「肥満症バスター/やす先生」です。循環器の医者がなぜ肥満なのか、と思われるかもしれません。
しかし、生活習慣病の入り口である肥満に前向きに取り組むことは、将来の健康余命、つまり人生のハッピーに直結します。
診察室の中だけでなく、外にいらっしゃる方々にも、動画を通して楽しみながら学べる情報を届けていきたいと考えています。
「偏差値60」への道はひとつじゃない。自分を責めないで
―「分かっているけどできない」という患者に対して、どのようなスタンスで向き合っていらっしゃるのですか。
野田:人間ですから、「分かっているけどできない」のが当たり前です。
仕事が忙しくて睡眠時間が取れない、付き合いがあって食事制限ができない、というのは、社会で生きている以上、仕方のないことですからね。
私は、健康管理を「入学試験」のようなものだと考えています。
志望校に合格するために必要な学力が「偏差値60」だとしましょう。
その偏差値60に到達するための勉強法は、人それぞれでいいのです。
高い授業料を払って塾に通って手厚い指導を受けてもいいし、家庭教師をつけてマンツーマンで教えてもらってもいい。
あるいは、自分一人で参考書をボロボロになるまで勉強して合格する人もいるでしょう。どんな方法であれ、合格ラインにさえ届けば、結果は同じ「合格」です。
医療もこれと全く同じです。
「大きな病気をしない」「健康余命を延ばす」という合格ラインに達するためには、食事や運動を徹底的に頑張るという独学のアプローチでもいいですし、それが難しければ「お薬」という名の家庭教師の力を借りてもいいのです。
もし、独学で頑張りたいという方には、その参考書として、私の著書『怖い「血管死」を防ぐ 食事&トレーニングメソッド』を役立てていただけるはずです。
日本人の4人に1人が血管の病気で亡くなる時代です。
そのリスクを食事と運動でどう回避するか、具体的な方法をまとめました。


薬に頼ることを「努力不足」と捉える必要は全くありません。
一番良くないのは、「運動できないからダメだ」「食事制限が続かないからもういいや」と諦めてしまって、自己嫌悪に陥り、治療そのものをやめてしまうことですから。
ドロップアウトしてしまうのが一番のリスクです。
「先生、今月は仕事が忙しくて運動できませんでした」と言われたら、私は「じゃあ、忙しい間はお薬の力を借りて数値を守りましょう。仕事が落ち着いたら、また運動を再開すればいいですよ」とお伝えします。
手段は何でもいいのです。
お薬を使おうが、運動をしようが、とにかく将来の自分のためにリスクを管理し続けること。
言い訳をして「合格」すること自体を諦めないこと。
患者さんの生活スタイルや、その時々の状況に合わせて、「合格するための方法」を一緒に考え、無理なく提案していく。
それが、伴走者である「かかりつけ医」としての私の役割だと思っています。

アーチェリーで培った集中力。そして突然の「院長就任」
―医師としての原点と、クリニック継承時のエピソードについて教えてください。
野田:父も親戚も医師という家系で育ったので、幼い頃から自然と「医師になるんだろうな」という雰囲気はありました。
ただ、高校生の頃はパイロットや外交官に憧れた時期もありましたよ。
しかし、組織の大きな歯車になるよりも、自分の腕一本で勝負できる仕事がしたいと考えた時、やはり医師という職業が一番しっくりくると感じ、この道を選びました。
学生時代は、アーチェリーに没頭していました。
高校入学を機に「何か一つ、やり遂げたという証が欲しい」と思って始めたんです。
弱小部でしたが、3年間必死に練習して、高校3年生の時には団体戦でインターハイに出場し、全国8位になることができました。
筑波大学進学後も体育会アーチェリー部に所属し、アーチェリーを続けました。


それが縁となり、後にスポーツドクターにとしての経験を積ませていただくことにもつながりました。
一つの的に向かって極限まで集中し、結果を出す。
その積み重ねが、医師としてのキャリア、特に心臓血管外科という緻密さとプレッシャーへの耐性が求められる分野に進む上での原点になった気がします。
大学卒業後は、筑波大学や帝京大学、国立病院医療センターなどで、心臓血管外科を中心に外科医としての研鑽を積みました。
その後、実家のクリニックを継ぐことになるわけですが、あれは本当に突然でした。
卒業して8年目くらいの頃、父がいきなり「もう辞める」と言い出したんです。
父は白黒はっきりした性格で、「3月31日まで自分がやる。4月1日からは一切顔を出さない」と宣言しました。
母も受付などを手伝っていましたが、二人揃って同時に引退してしまったんですよ。
まさに「まさか」という状況でしたね。
検査会社への連絡先すらよく分からず、申し送りもあやふやなまま、4月1日から私一人ですべてを背負うことになったんです。
当時はまだ電子カルテも普及していない時代でしたが、私は「やるなら自分のやり方でやるしかない」と腹を括りました。
急いでレセプトコンピューターを導入し、看護師や事務員を新しく募集して、組織を一から作り直したんです。
あの時の、追い詰められた中での決断の連続が、今の私の経営者としての基礎を作ったのだと思います。
結果として、古いやり方に縛られず、IT化や新しい設備の導入をスムーズに入れることができたので、今となっては父の潔さに感謝している部分もありますね。
「不要不急」ではない。コロナ禍で見えた、場所の価値
―コロナ禍において、クリニックの3階にある「ファイト!」に関して印象的な出来事があったと伺いました。
野田:コロナ禍、特に最初の緊急事態宣言が出た時は、スポーツジムなどは感染リスクが高い「3密」の場所として、休業要請の対象になりました。
当院の「ファイト!」も、医療機関の中にあるとはいえ、機能としては運動施設ですので、一時的に閉めざるを得なかったんです。
そんなある日、定期通院に来られたある高齢の男性の患者さんに、こう言われました。
「先生、『ファイト!』はいつ再開するんだ。あそこは俺たちにとって『不要不急』なんかじゃない。必要な場所なんだ」と。
私自身、あくまでリハビリや運動療法の「機能」を提供する場所として運営しているつもりでしたが、患者さんたちにとっては、そこは単に体を動かすだけの場所ではなかったのです。
同じくらいの世代の仲間が集まり、「今日は調子が良いね」「ここが痛いよ」と話し合い、お互いの元気な顔を確認し合う。
そこでの交流こそが、彼らの生活の一部であり、心の支えになっていたのです。
それが失われることは、社会とのつながりを断たれることと同じで、心と体の健康にとって大きなダメージだったのです。
「ここは不要不急ではない」。
その言葉を聞いて、私は確信しました。
私が作ったこの場所は、単なる運動施設ではなく、地域の人々が孤立せずに生きていくための「居場所」、いわゆるコミュニティだったのだと。
この経験を経て、私は以前にも増して、「地域の人々の人生そのものを支える」という覚悟が強まりました。
病気を治すだけでなく、その人がその人らしく生きられる環境を守り抜くこと。
それが、これからの地域医療に求められる役割なのだと思います。


「守る」から「創造する」へ。これからの医療のカタチ
―最後に、読者へのメッセージをお願いします。
野田:開業した当初、当院のホームページには「大切なものを守る」という言葉を掲げていました。
しかし、この数年で私の考えはさらに一歩進み、現在は「健康を創造する」という言葉を掲げています。
健康とは、単に病気ではない状態を指すのではありません。
自分の足で歩き、人と関わり、前向きに何かに取り組める状態のことです。
それは、受け身でいるだけでは手に入りません。
自らの意思で創造していくものです。
病院は「病気になってから行く場所」だと思われがちですが、私はその常識を変えたいのです。
当院は、内科、循環器科、消化器科、そしてリハビリやフィットネスまで、あらゆる角度からあなたの健康をサポートできる準備が整っています。
「お薬を出して終わり」ではありません。
あなたの5年後、10年後、そして20年後の人生を見据えて、「どうすれば最高の人生を送れるか」を一緒に考え、伴走するパートナーでありたいと思っています。
もし今、何となく体の不調を感じている方、あるいは将来の健康に漠然とした不安を抱いている方がいれば、ぜひ一度、サクラクリニックにご相談ください。
「今の数値」だけでなく、「未来の人生」を一緒にデザインしましょう。
私たちには、そのための知識も、技術も、そして何より情熱があります。
最高に楽しい「健康余命」をつくるために、私たちが全力でサポートします。
「合格ライン(偏差値60)に届くなら、方法はひとつじゃなくていい」。野田院長のこの言葉に、どれだけの患者が救われているだろうか。
「こうしなきゃダメだ」という理想を押し付けるのではなく、患者の弱さや生活の事情までを丸ごと受け入れ、その上で「合格」への道を一緒に探してくれる。その姿勢には、心臓外科医として命と向き合ってきた厳しさと、20年以上地域の人々に寄り添い続けてきた温かい寛容さが同居している。
「ここは不要不急の場所ではない」。患者から投げかけられたその言葉は、サクラクリニックが単なる医療機関を超え、地域の人々の「生きる拠点」となっていることの何よりの証左だ。
月間1300人という数字は、単なる実績ではない。そこにある1300通りの人生を支え続けてきた、信頼の証なのだ。もしあなたが、自分の健康と人生に本気で向き合いたいと願うなら、サクラクリニックは間違いなく、一番の味方になってくれるはずだ。その一歩が、あなたと家族の未来を明るく照らすはずだ。


医療法人春陽会サクラクリニックについて

| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| クリニック名 | 医療法人春陽会サクラクリニック |
| 院長 | 野田 泰永(のだ やすなが) |
| クリニック紹介 |
「健康を創造する」を理念に掲げ、3階建ての施設内に診療所、デイケア、そして100坪超の本格的な運動施設「健康増進クラブ ファイト!」を併設。 循環器外科出身の院長と、管理栄養士・健康運動指導士のダブルライセンスを持つスタッフが連携し、食事・運動指導から専門治療までをワンストップで提供しています。 月間延べ1300人以上の患者を支え、「薬を出すだけの医療」から脱却し、「健康余命」の延伸を目指す地域医療の拠点です。 |
| 所在地 |
〒468-0033 愛知県名古屋市天白区一つ山2-6 |
| アクセス |
名古屋市営地下鉄桜通線「相生山駅」より車で5分 名古屋市営バス「西入町」バス停すぐ前 |
| 電話番号 | 052-801-3931 |
| 診療時間 |
9:00〜13:00:月曜日・火曜日・水曜日・木曜日・金曜日・土曜日 17:00〜19:30:月曜日・火曜日・水曜日・金曜日 ※水曜午後は17:30~19:30 |
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